まるで宝石!カゼトゲタナゴの飼育方法、生息地など全力紹介

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カゼトゲの婚姻色5月、オス、太陽光下では構造色により一段ときれいに見える

我が家のすぐ近所にタナゴが5種類生育する水路があります。その水路でも最も可愛いタナゴがカゼトゲタナゴです。可愛さと輝きは当地九州淡水魚界の至宝です。

カゼトゲタナゴの特徴や飼い方を説明しますね。貴重な魚ですが、いる所にはいます。飼育も簡単で増やすこともできます(爆殖は無理)。飼うともっとこのタナゴがいる環境を残さなければという思いが強くなるにちがいありません。
ガサガサや釣りで捕獲していたのですが、そのたびに眺めて画像に撮ってウットリしてからリリースしています。

我が家ではカゼトゲとニッポンバラタナゴに絞って繁殖飼育中。飼育するうちにとても素晴らしい魚と確信しています。

お魚ガチが書きました
すまら

自然大好き一家で自然保護協会家族会員。自然観察指導員 。熱帯魚はベタ、日本淡水魚はタナゴその他を20本以上の水槽で飼育中。
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カゼトゲタナゴとは?

カゼトゲタナゴは九州北部の水路にいる小型のタナゴです。タナゴは日本淡水魚の中でも人気がありますが、カゼトゲはその小ささと愛らしさから九州まで飛行機でわざわざ釣りに来る人がいるくらいです。
生育数は少なく、当地福岡では釣りに適した水路を見つけるのはとても難しいです。近年は特に生育数の減少が心配されており、ある我が家の柳川の近所(タナゴの聖地)でもめったにお目にかかれません。個体数的には熊本が比較的多いです。でも、生息地であるなら他のタナゴがいる水路を継続的に観察していれば見つけられると思います。というのも水中映像にはほかのタナゴと混じって映るんです。人知れずひっそりと生き延びている魚。

オスとメス

婚姻期のオスとメス

簡単にいえばオスの方が派手でメスは産卵管が見えます。メスのお腹が大きくなり卵が入っていることがわかります。メスはヒレの色が無いので慣れれば産卵管が無くても見分けられます。

カゼトゲタナゴの特徴

熊本で釣った時の動画です。

体長は4㎝ほどの日本で最も小さいタナゴで寿命は野生では約2年。川では2年目の婚姻色の時期が過ぎると死んでしまいますが、水槽ではそれ以上育てることができます。環境省のレッドデータリストでは絶滅危惧種1B類にしていされているタナゴです。
生育地は主に九州の福岡・佐賀・熊本になります。水路では主にアブラボテ、ニッポンバラタナゴなどど一緒に泳いでいます。流れの無い水路閉鎖的な水路より緩い流れがあり、水が綺麗で水草も多い川にいます。臆病な性格からか橋の下や水草の影などが好きです。
とても似た種類としてスイゲンゼニタナゴが岡山県付近に生育しており、こちらは飼育も捕獲も禁止されています。カゼトゲとスイゲンの交雑も起こっており心配されています。ほとんど同じ種類と考えられており、同種とする声もあるほど。見た目の違いはスイゲンの方が細長いです。でもカゼトゲも細長い個体もフィールドにはいるんですよね(特に若い個体)。環境の違いじゃないかと思うほど似ています。

カゼトゲタナゴの生息水系

  • 福岡-遠賀川、筑後川、矢部川
  • 佐賀-六角川、嘉瀬川、松浦川
  • 長崎-壱岐 (とても珍しい。そっとしておいてあげて)
  • 熊本-菊池川、緑川、球磨川
  • 大分-大分川

遺伝的固有性は4つに分かれている。スイゲンゼニタナゴの地域などで国内移入として見つかっている。

見分けのポイント

人工授精で生まれたカゼトゲ稚魚
二枚貝に卵を産む魚。若い個体も成魚も背びれに星がある。

背びれに星と言われる黒斑があります。この星は他のタナゴよりも濃く、ヒレの前方は白くなっています。この段階で同じようなタナゴはタイリクバラタナゴやタビラ類です。

本種の一番の見た目の特徴は身体の横一線にみえる青色の線です。バラタナゴより線が長い。体形はバラタナゴより細長く、小さい個体はより細長く見えます。ニッポンバラやタイリクバラとの見分けは簡単で、慣れた人が見間違えることはありまえん。

オスは婚姻期になると色味がまし、お腹が黒くなり、口元もオレンジ色になります。慣れればバラタナゴとの見分けは簡単です。シルエットが細長い。

カゼトゲタナゴの産卵について

マツカサガイとイシガイ。カゼトゲが好む貝。

カゼトゲタナゴは小型の二枚貝を好んで産み付けます。マツカサガイ、イシガイ、カタハガイ、オバエボシガイなどです。しかもそれらの貝の小さめの個体を選んで生みます。産卵管は短めで繁殖期でも13mm(最大21mm)ほどです。
貝から8mmほどの稚魚が浮出するまで早くて14日、長くて30日かかります。

産卵期は3月から8月となり、婚姻色の最盛期は6月です。特にオスの色味がましますが、追星はさほど目立ちません。目と口がオレンジになるのが特徴的です。

水槽で繁殖させる場合、我が家ではイシガイで試して成功したこともあります(だけど稚魚が親魚に食べれるミス)。ガッツリ繁殖行動をする魚ではないので落ち着いた環境がないと貝には産まないかもしれません(魚はカゼトゲだけにするのがイイと思う)。人工授精の方が確実です。過去に記事を書いているので参考にしてください。

卵みたいだけど尾が生えて泳ぐ
タナゴを人工授精で繁殖させる方法解説-二枚貝不要
タナゴの人工授精について 貝に群がるニッポンバラタナゴ タナゴ飼育の醍醐味は繁殖です(きっぱり!)。というのも、婚姻色の美しさや産卵管というタナゴの特徴は産卵行動のためのものだからです。 最初は繁殖さ...
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カゼトゲタナゴの入手方法

カゼトゲタナゴで問題となるのは入手方法です。

我が家は福岡なのでタナゴ釣りをしていれば極まれに釣れます。水中画像では割と映りますが、釣れにくいです。大抵は同じところにいるアブラボテが釣れますからね。エサに食いつかない魚種ではないのでカゼトゲばかりいる場所なら釣れます。エサは黄身練りなどの小さく針に乗せれるエサです。仕掛けは一般的なタナゴの仕掛けでいいですが、針は小さければ小さいほど良い。婚姻色が最も美しいのは梅雨の時期です。

確率で言えばガサガサで捕る方が確率が高いです。捕りやすいのは冬かなと思いますが、まぁいればオールシーズン捕れます。警戒心が高くお魚キラーなどの罠には密度が濃くない限り滅多にかかりません。

カゼトゲタナゴはネット通販でワイルド個体も売られています。大抵は熊本産です。ブリードはほとんど流通していないでしょう、卵の数が少ないので増やしてくてもあまり増えませんから。

ワイルド個体を購入してまで飼う魚だろうか…!?と考えてみると、そこまでして飼うことに価値は無い気がします。まぁそれは人の自由ですが。
もしガサガサで捕れたり、釣れた大事に持ち帰って飼ってみてください。飼う自信や必要性が無いのなら逃がしてくださいね。

カゼトゲタナゴの入手方法の結論的には通販でワイルド個体かブリード個体を買うか、知り合いに増やしたのをもらうか、自分で釣る捕る、の3択です。

冬の柳川の堀で捕ったカゼトゲたち。一匹はニッポンバラタナゴ。深みに集まっていた。体形は似るが、やはりブルーのラインが大きな違い。ニッポンバラは絶滅危惧1A(福岡では1B)でカゼトゲは1B類。個体数的にはどちらもとても少ない。
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飼育方法

明らかに水色の線があるのがカゼトゲ、うっすら見えるのがニッポンバラタナゴ。

カゼトゲタナゴの飼育は簡単です。以下説明していきますが、なるべく水槽サイズは大きい方がイイです。貴重なタナゴなので環境で死ぬことが無いよう管理維持してください。

カゼトゲにお勧めのエサ

タナゴエサ各種
小さめがお勧め

カゼトゲタナゴは雑食性でエサは基本的に口にはいる物なら何でも食べます。

カゼトゲタナゴは小型のタナゴなのでタナゴ用として売られている一部のエサが大きすぎます。メダカのエサでもokです。異なる大きさを飼っているのならフレーク状のエサにしましょう。メダカ用に売られている大きめのエサでもいいです。一押しはヒカリの日淡プロスです(画像の右)。

エサの種類は魚用なら何でもいいのですが、植物配合の方がイイでしょう。ちなみに、カゼトゲはほとんど水草は食べませんし、フィールドではコケも食べますが水槽ではほとんど食べません。
雑食性なので赤虫なども食べますが、水を汚すので自分は全く使っていません。

寿命・病気

病気・ニチバラ
いじめられて弱ったニッポンバラタナゴ、隔離で対処

カゼトゲタナゴは在来タナゴの中で一番寿命が短いです。短い時は2年少々で突然死にます。婚姻色が出て繁殖期の終わりごろに突然死んだり、徐々に弱って死にます。うまくやれば4年目までは飼育できますが、3年以降は弱りぎみで色が薄いまま生き延びる感じです。

色が薄くなってヒレが溶けてくると寿命が近いです(といってもその状態で更に1年生きたりする)。まだ小さい個体がそのような場合は、飼育環境に問題があります。とりあえず数日おいて二回ほど水換えをして様子を見てください。水槽でいじめられていたり、エサを食べるのが下手なタナゴがいたら元気になるまで隔離して管理しましょう。数日間ならプラケースにエアレーションだけで飼えます。

発症する病気としてはエロモナス病か白点病です。特に病気が出やすい種類ではありません。発生初期はエロモナスなら水換え、白点は塩を0.5%いれます。ひどいようなら薬浴です。

混泳

二枚貝とカゼトゲ。ちなみに二枚貝じゃなく人工授精の方が簡単。

カゼトゲタナゴはおとなしく、ほとんど問題を起こしませんが、逆にいじめられる側です。アブラボテやバラタナゴ、ヤリタナゴと混泳はできますがすが、なるべくカゼトゲがメインで少数他の種類のタナゴを入れる環境にしましょう。

他の種類としてはドジョウは全く問題なし。ミナミヌマエビは混泳していても増えます。

カゼトゲタナゴの繁殖

人為的にメスから出した卵にオスの精子で受精させる

カゼトゲタナゴは小型の二枚貝を好んで卵を産み付けます。水槽で産ませようと思っても、カゼトゲは他のタナゴほど活発に繁殖しようとしないので水槽で産ませるのは難しいです。
増やしたい場合は貝の入手や管理が手間なので人工授精でやりましょう。タナゴとしては小型なので数が少ないのですが、卵は比較的大きめで成功率は高いです。

ブラインシュリンプを食べた稚魚
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管理

床材掃除も大事

水換えは春夏秋は月に1回半分、冬は無し。水換え時はなるべく床のごみも吸ってください。フィルターは水流が小さくるくらい汚れているなら分解してブラシでコケ等をとってください。吸い口がつまりやすいです。
ヒーターは金魚用の18度を入れれば十分です。室内なら無加温でも全然okです。ヒーターを入れた方が少し長生きします。

コケ対策は水換え前にスポンジやスクレーパーで落とします。マグネット式のコケ取りで時々コケを落すとよりきれいに見えます。

お勧めの飼育道具

まず我が家の飼育環境

60㎝規格、上部フィルター、底面+水中フィルター
大きなヤマトシマドジョウと混泳、ミナミヌマエビも

60㎝規格でカゼトゲ15匹、ドジョウ5匹を飼っています。ミナミヌマエビもたくさん入っています。流木にウィローモス・ウォーターフェザーを活着させています。

フィルターは上部と底面のダブルでやってます。このコンビはお勧めで、ほとんどろ材の掃除も必要ないです。

セキショウモも植えていましたが、大磯砂だと粒子が大きすぎて上手く育たないです。水草も植えたいなら田砂かソイルにしましょう。

これから購入するなら

水流は欲しい。

カゼトゲタナゴの飼育は30㎝キューブ水槽で5匹から7匹、60㎝規格で15匹から20匹程度がイイでしょう。小型のタナゴで性格がおとなしく、繁殖期もそれほど過激になりません。

小型とはいえ2年目のオスは大きくなると6㎝くらいの大きさで、タイバラと同じくらいのサイズ感になります。メスはあまり大きくなりません。

お勧めの水槽サイズは定番の60㎝水槽がイイでしょう、レイアウトやほかの生体と混泳させる余裕があります。床材はソイルか大磯砂が機能的に優れています。細かい砂は見た目が明るくとても似合いますが、通水性が悪く汚れがたまりやすいので水換え時には入念にホリホリして掃除してください。水の透明度を重視するなら吸着系のソイルがお勧めです(ただし、寿命は1年)。


フィルターは上部式が安くて便利ですが、可能なら底面フィルターを別に稼働させれば格段と濾過に余裕ができフィルターのメンテナンスも楽になります。ただ、上部は落水音や微振動の音がどうしてもしてしまうので、リビングなどに置くなら外部式がイイです。カゼトゲの場合、水流は適度にある方が健全です。水中フィルター(モーター)などを別に追加して水流を作ってもいいですよ。

LEDライトはぜひつけましょう。夏10時間の点灯、冬8時間程度でタイマー管理するのがお手軽です。

  • 60㎝規格水槽
  • 床材(大磯砂3㎏、ソイルなら5Lが最低ライン)
  • 上部フィルター(その他外部など)
  • 水草や流木
  • LED照明(少し暗めのでもok)
  • エサ(タナゴ用とされるエサが大きすぎる場合がある、フレーク状が良い)
  • ヒーター(室内なら無加温でもよいが、金魚用18度を入れると安心)

まとめ

おめめとお口が可愛い

カゼトゲタナゴは日本の在来タナゴの中でも最小で最もおとなしいタナゴ。その色は独特で特に太陽光下での美しさは日本淡水魚界でもトップクラス。

そんなタナゴの生息域はとても狭く、数が少ないです。貴重なタナゴですが近所で釣れる人は釣って増やしてみましょう。

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