タナゴが生育する水路
家に転がっていた虫取り網で毎日タナゴを捕獲しています。
最初はアブラボテというタナゴの一種やハヤばかりだったのですが、水路のつながりや地形をたどっていくと他にもタナゴが泳いでいる水路が見つかりました。
こんな家の近所でキレイな色の入った魚が捕れるとは驚きでした。特にカゼトゲタナゴは美しい。気に入ったタナゴを水槽で飼っているのですが、いくらでも獲れるので今では即リリースしています。季節が4月に入ったことも関係しているかもしれませんが、100匹以上群れで泳いでいる様子も観察できます。水路自体はスルーしてしまいそうな何の変哲もないところなんですが、この田んぼの水路から集落内の区間がタナゴの楽園となっているようです。楽園とはいっても、非常に狭いエリアであり、少し離れるとアブラボテしかいません。
場所は福岡県の大川市、柳川市、筑後市、みやま市、八女市にまたがる矢部川水系エリアです。
タナゴの聖地ともいわれる柳川の周辺部になります。
いまではタナゴ釣りの面白さにハマり家族で楽しんでいます。
福岡県に生育するタナゴの種類
タナゴハンドブックによると、福岡県に生育在来種のタナゴはアブラボテ・ヤリタナゴ・カゼトゲタナゴ・カネヒラ・ニッポンバラタナゴ・セボシタビラの6種類です。そのほかにイチモンジタナゴ(国内外来種)、タイリクバラタナゴ(外来種)を含めると8種類です。そのうち6種がこの水路に生育していました。福岡県は全国的にもタナゴの種類が多い地域にはなりますが、どこにでもいるわけではなりません。主に、遠賀川、筑後川、矢部川水系が代表的な地域になります。
特にカゼトゲ・ニッポンバラタナゴ・セボシタビラは全国的にも貴重なタナゴです。ニッポンバラは久留米市に由来して学名でクルメウスと名付けられているほど福岡とゆかりのある種類です。
セボシタビラは特定希少種で飼育や捕獲が禁止されています。もっとも珍しいタナゴですが、この水路でもようやく発見しました(2021)。水中動画を撮り続けていたらようやくヒットしたのです。
さらに、この水路の下流域でイチモンジの捕獲例があるようです(日本のタナゴにも生育地域として記載されている)。
福岡県のこの水路で捕れるのは以下の種類
お暇な方は動画もあります。水中映像をのんびり見る動画です。タナゴが複数種出てきます。
アブラボテ
この水路群ではアブラボテの数が多く、釣ったらまずアブラボテが釣れます。場所によってはアブラボテばっかりの時が多いです。他のタナゴに比べて警戒心も薄く、食欲も多いのでオールシーズン釣れます。福岡のタナゴでは特段に珍しいわけでもなく、婚姻色も黒系なのでさほど人気はありません。
とわいえ、アブラボテがいる場所は他のタナゴがいる可能性も否定できません。特にカゼトゲはアブラボテに交じって泳いでいるときが多いです。
流れの激しいところにはいませんが、少し緩やかになっているポイントにたまっていたりします。アブラボテの生育をヒントに水路をたどったりして他のタナゴも見つけたりすれば上級者です。
飼育水槽では縄張り意識が強い魚で、水槽に入れると小さなアブラボテが自分の何倍も大きいオイカワを追い払ったりします。
カゼトゲタナゴ
九州の小型のタナゴです。このタナゴを釣るために他県から来る人などもいます。生育環境的には緩やかな流れの水草付近に他のタナゴと群れています。水質の悪い川にいる時もありますが、泳力や性格的に控えめなので沢山はいません。カゼトゲばかり釣れる水路は極端に少ないです。水中で映像を撮るとチラホラ映るので、極端に珍しいという訳では無いかな。数が少ないので福岡で初見で釣るのはとても難しい。
釣るのが難しい理由は数が少ないという理由のほかに他のタナゴ(主にアブラボテ)の方が活発で、そちらが食いつく確率が高いんです。カゼトゲしかいない場所だとエサには食いついてきます。針は最高クラスに小さい針を使ってください。
水槽に入れると群れて泳いでキレイ~。サイズ的には少し小さいのですがとにかく美しい魚。九州の至宝といわれる美しいタナゴです。6月ごろが最も婚姻色がきれいな時期です。水槽ではとても温厚です。
ヤリタナゴ
ヤリタナゴはこの水路群では比較的珍しい種類です。体高が低めなのですぐ見分けがつきます。オスは婚姻色が出ますが、メスは白銀色をしておりシンプルな美しさがあります。婚姻色の美しさは必見です。ボテと一緒のところで釣れることもあります。
少ないとは言っても、結構いろんところで釣れるので、福岡のタナゴ生育地域では珍しくはありません。場所によってはよく釣れる時があります。特に水流があるところで婚姻色のシーズン。婚姻色のシーズンは濁った川で上から赤っぽいヒラウチが見えたりします。婚姻色の出た雄は活発に泳いでいるので狙って釣ることも可能です。
婚姻色のヤリタナゴの美しさは本当にすばらしいのですが、水槽ではあの色は出ません。婚姻色が出ないわけではないんだけど。
ニッポンバラタナゴ
この水路にはニッポンバラタナゴもいます。全国的には外来種のタイリクバラタナゴとの混血が心配されていますが、詳しい人に聞いたところこの地域にはタイリクバラタナゴはいないとのことでした。しかし、福岡県内では純粋なニッポンバラはどんどん少なくなっているとのことです。この水路はスイートスポットのようにタナゴの楽園化しているので今も純血が残っているようです。
カゼトゲタナゴと雰囲気が似ていますが、婚姻色や肩の光具合で判別可能です。釣れることは稀ですが、場所により沢山います。これを釣り上げようとするならなるべく小型で尖った針を使いましょう。小さい当たりを逃さず釣りあげてください。釣るなら4月からから8月のお盆まで婚姻色がかろうじて出ている期間でしょうか。秋になれば新子が見つかりますが、コケばかり食べているらしく釣れません。水草の中にいるのでガサガサで捕ることになります。
種類的には流れのない澱んだ水路がお好みです。濁った川から釣りあげると薔薇タナゴと叫びたくなるくらい鮮やかです。目や口が目に色で綺麗ですが、婚姻色がない時期やメスは結構地味です。ナワバリを主張する魚で、水槽で飼うと婚姻色の雄は追っ払うのにひたすら忙しい。産卵管が長く、大きめの二枚貝に産卵します。
九州には外来種のタイリクバラタナゴもいますが、タイリクバラタナゴは腹びれを見ると白い線があります。
カネヒラ
カネヒラは、水流を好む種類ですがニッポンバラと泳いでることもあります。
お気に入りの場所がありカネヒラ一族で群れを組んで行動している感じです。春までは水草の影などおとなしいですが、8月になると急に活動が活発になり釣れるようになります。オスはその大きさと婚姻色から川でも判別可能です。
産卵期は夏から秋で卵は冬を越して翌年の春ぐらいに浮上します。
草食性で水草を食べてしまうので、食べられてもいいなら水草を入れてもいいですが、食べられたくないなら、入れない方がいいです。アナカリスを入れておくと一日で丸裸にするくらい食べます。
気性は荒く、小さい水槽では飼わない方がいいです。数多く飼うなら90㎝規格以上が理想。白点病にもなりやすいので注意してください。
我が家では飼うというより狙って釣って楽しむ魚。
セボシタビラ?
セボシタビラは福岡県内で最も珍しいタナゴです。捕獲と飼育が禁止されており、新たに飼育することは犯罪となります。もちろん売買もされていません。もし釣れた場合は、すぐ逃がす必要があります。
以前からそれっぽい婚姻色のタナゴが見える時があったので、この水路群にも居るはずと思っていましたがやっと映像が撮れました。見つけた水路は三面コンクリートですが二枚貝が沢山いる箇所でした。
んでもカネヒラの幼魚かも?と後で思いました。
雑種タナゴ
雑種とか交雑といわれるタナゴも生育しており、時折釣りあげることができます。
ヤリタナゴとアブラボテの雑種はヤリボテ、カゼトゲとアブラボテはカゼボテなどと言います。これらの雑種は子孫が残せる場合と残せない場合があるようですが、雑種の子孫はどちらかの種類に近い容姿のタナゴが生まれて、その子たちはどちらかの種類に戻っていくそうです。というのも交雑はオスしか生まれないから、孫の代にはどちらかの種類に戻ってしまうのです。
福岡でのタナゴが釣れるポイントってどこ?
福岡県内ではタナゴが釣れるのは遠賀川水系、筑後川水系、矢部川水系が主な地域になります。釣れるポイントを自力で探すのは大変です。生育はするものの、釣るにはある程度数がいないと釣れませんし、水深や水流、アプローチの問題もあります。いそうな地域を見つけて、グーグルマップで目星をつけておいて実際に探すことになります。ヒントとなるのは二枚貝の存在です。そこが泥でなく、砂礫で少し流れがあるところにイシガイなどの二枚貝が生育しています。そのような場所近くやつながった水路でタナゴは釣れるはずです。住宅地付近や住宅街の真ん中のケースもあります。
県内でタナゴを釣ってみたい場合に、まずお勧めできる地域は柳川市周辺です。水路が多いですし、確実にタナゴはいます。ヤリタナゴかアブラボテなら釣れる可能性はとても高いです。ただーし、ブラックバスとブルーギルが増え始めて釣るほどの数がいなくなってきています・・・。結構分散している感じなので、安定して釣れるポイントが少なくなっています。
水槽の様子
タナゴの捕獲方法
お魚キラーとおいう罠も購入してみました。小さい魚を捕るにはぴったりの罠です。お魚キラーという強烈なネーミングですが、穴が大きく開きっぱなしなのですぐ逃げられます。最初は全然捕れませんでしたが、運が良ければ20匹以上入るときがあります。コツとしては石を入れて沈ませることと、入り口出口を意識して置くことです。エサは味噌や魚のエサ、ドックフードなど。一番入ったのはドックフードを使った時でした。
またタナゴは網でも捕れます。ガサガサして一番捕れるのはエビですが、小さいサイズならタナゴもよく捕れます。タナゴ釣りにはまってからは使ってません。獲れても逃がすだけだけだから。
タナゴ釣りの道具やエサ
タナゴ釣りは熱心なファンの人もいて、釣り人どうしで釣り場情報を交換しているようです。
小魚ゆえにの難しさや楽しさがある釣りですが、釣り場さえ見つけてしまえば釣りあげるのは簡単です。仕掛けは小物用で繊細ではありますが、理屈は単純です。6歳児でも釣れました。ただし、狙った種類を釣るのは難しいです。エサやポイントを変える必要があります。
短い竿と小物用の仕掛けセットを数個買えば始められます。合わせて3000円あればネットでそろいます。
ウキや針をさらに繊細なものにすれば、釣りあげる率も上がります。ぜひ、タナゴ用の針を準備しましょう。エサは黄身練り(卵の黄身と小麦粉)で十分ですし、ミミズでもよく釣れます。手軽なのは市販のタナゴエサです。注意すべきはエサの付け方。針先に極わずかつけてください。たくさんエサに群がるのですが、エサが大きすぎるとなかなか食いつきません。
誰でもつれるタナゴ仕掛け
お手軽なのは作成済みのタナゴ仕掛け。短い竿で釣るので根ががりしないのでどんどん消費することはありません。
タナゴ専用の針は専用なだけあり、タナゴの小さい口に適しています。針を変えただけで釣りあげる確率が上がります。お勧めは匠技紅虹隣タナゴ。
100円ショップの竿や仕掛けでも可能です。100円の仕掛けと使うばあいは、針だけタナゴ用にすれば釣れます。
- 竿は川幅に合わせて1.2mから3m
- 道糸は0.6号(細くて絡みやすいと思う場合はもう少し太くてもok)
- ウキは小型のハエウキ(丸いのはダメ)
- ガン玉でもいいが板オモリでウキが水面からわずかに出るくらいに調整するのがベスト
- ハリスは3cmから5cm 0.4号
- 超小型ハリス止めがあると便利
- 超重要な針はタナゴ用がベストで新半月や極小
まとめ
こんな身近にタナゴがたくさんいてビックリ。今のところ飼育は順調です。一度事故でタナゴを死なせてしまってからは自家繁殖させたタナゴか稚魚をすくってきた個体しか飼っていません。
二枚貝は野外水槽なら簡単に飼えますが、室内の水槽では死んでしまいます。飼わない方がいいです。
タナゴ釣りはとっても面白いのですが、問題は釣り場です。釣り場を見つけやすいのは3月から5月のあいだ。
7月に入ると梅雨や田んぼの管理で水路の流れが変わったりして、春に沢山見つけたタナゴが全くいなくなったりします。
タナゴハンドブックという本は小さいですが、一通りのことが書かれていて自分の県にどんなタナゴがいるかが調べられるので良いと思います。飼育方法や釣り方なども記載されているのでタナゴ好きは持っていて損しない本です。
ほかに川で捕れたのはムギツク、オイカワ、コイ、ミナミヌマエビ、スジエビ、ミゾレヌマエビ、ドンコ、メダカ、すっぽん、ザリガニなど。