水草ハンドブックhtml版(日本の在来・外来種133一覧図鑑、見分け)

このページはクリエイティブ・コモンズのCC BY 4.0 国際に基づいて水草ハンドブックをhtml版に変換して掲載しています。クリエイティブ・コモンズのCC BY 4.0とは出典を明示すれば商用を含めてすべて自由に利用できるライセンスです。

内容はそのままで、多少のレイアウトの調整とハイパーリンクだけ追加しています。レイアウトの都合上、フォントが小さいのはご了承ください。スマホは横見推奨です。
http://wetlands.info/tools/guidebook/hydrophyte_handbook

水草ハンドブックは2018年7月31日に新潟大学教育学部が発行した書籍・pdfです。「湿地の多面的価値評価軸の開発と広域評価に向けた情報基盤形成」という事業目的のため、(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(4-1705)を利用して作成されています。

なぜ、html版を作ったの?pdf版はダウンロードしなければ見ることができず、サイズも軽量版で16MBあります。html版は1MBで、必要なページだけ開くことができます。軽量を意識しているので、より精細に見たい場合は本家をダウンロードしてみてください。

水生植物同定用ガイドブック「水草ハンドブック」 | Wetlands Information

水草ハンドブック

検索フォーム


植物の名前などを入れて検索ボタンを押してください。黄色ではハイライト表示します。該当が無い場合は動きません。水草の種類を調べたいときは8~13の水草絵解き検索を参考にしてください。フローチャートで種類が判別できます。

スマホは横見推奨です。

収録水草 数字ページ数

アイオオアカウキクサ15/アオウキクサ21,23/アオミドロ61/アカウキクサ15/アギナシ23/アサザ56/アシ45/アシカキ58/アゼスゲ40/アメリカオオアカウキクサ15/アメリカミズユキノシタ51/イグサ37/イケノミズハコベ53/イトトリゲモ26/イトモ32/イヌタヌキモ2,55/イヌホタルイ42/イバラモ27/イボクサ33/ウォーターレタス20/ウキクサ2,21,23/ウキシバ58/ウキヤガラ7,39/ウスゲオオバナミズキンバイ51/ウリカワ22,23/エビモ31,32/園芸スイレン19/オオアカウキクサ15/オオカナダモ25/オオカワヂシャ54/オオサンショウモ14/オオトリゲモ27/オオバコ28/オオバナミズキンバイ39,51,52/オオフサモ48/オオフトイ44/オグラコウホネ18/オグラノフサモ49/オトメフラスコモ61/オニバス17/オニビシ50/オヒルムシロ32/オモダカ2,22,23/オランダガラシ52/ガガブタ57/カキツバタ33/カサスゲ40/カシワ56/カタシャジクモ60/カボンバ16/ガマ2,36/カワヂシャ54/カンガレイ43/キクモ2,53/キシュウスズメノヒエ44/キショウブ33/クレソン52/クローバー14/クロホシクサ38/クロモ25/クワイ23/コウガイゼキショウ38/コウガイモ29/コウキクサ21/コウホネ2,18/コオニビシ50/コカナダモ25/コガマ36/コゴメイ37/コナギ23,34/コバノオランダガラシ52/コバノヒルムシロ32/ゴハリマツモ46/コヒゲ37/サイコクヒメコウホネ18/ササバモ30,32/サジオモダカ22/サンカクイ43/サンショウ14/サンショウモ14/シャジクモ59,60,61/ジュンサイ16/ショウブ20/スギナ61/スブタ24/セイヨウミズユキノシタ51/セキショウ38/セキショウモ2,29,35/セリ58/センニンモ31,32/タイワンヤマイ42/タヌキモ55/チクゴスズメノヒエ44/チゴザサ58/ツツイトモ32/ツルヨシ45/デンジソウ14/トウビシ50/ドクゼリ58/トチカガミ2,26/ナガエツルノゲイトウ39,52/ナガエミクリ35/ナンゴクアオウキクサ21/ニシノオオアカウキクサ15/ネジレモ29/バイカモ2,25,47/ハゴロモモ2,16,53/ハス47,50/ハナショウブ20/バナナ57/ハリイ41/ハリマノフサモ49/ヒシ2,50/ヒツジグサ16,19/ヒマワリ57/ヒメガマ36/ヒメコウホネ18/ヒメビシ50/ヒメフラスコモ60,61/ヒメホタルイ42/ヒメミズワラビ15/ヒルムシロ2,30,32/ヒロハノエビモ32/フサジュンサイ16/フサモ2,48,49/フトイ44/フトヒルムシロ16,32/ヘラオモダカ22/ホザキノフサモ2,48/ホシクサ38/ホソバミズヒキモ31,32/ホタルイ42/ボタンウキクサ20/ホッスモ27/ホテイアオイ34/ホナガカワヂシャ54/マコモ46/マツバイ41/マツモ2,46,61/マルバオモダカ22,23/マルミスブタ24/ミカズキモ61/ミクリ2,35/ミジンコウキクサ21/ミズアオイ34/ミズオオバコ2,28/ミズキンバイ51/ミズハコベ49,53/ミズヒマワリ57/ミズユキノシタ51/ミズワラビ15/ミゾハコベ49,53/ミツガシワ56/ムラサキオランダガラシ52/ヤナギスブタ24/ヤナギモ31,32/ヤマトミクリ35/ヨシ2,45,46/レタス20

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 ミニガイドに出てくる水草の細く裂ける沈水葉たち。水中に沈んだ
葉の形を楽しむのは水草の醍醐味の一つ。

表紙の説明 大阪近辺の水草相をふまえて、「こんなため池に

出会えたらいいな」という理想のため池を描きました。

2cm

フサジュンサイ

マツモ

バイカモ

キクモ

イヌタヌキモ

フサモ

ホザキノフサモ

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水 草 と は ?

 水草(水生植物)は、湖沼・ため池・河川などの水辺に生育す
る植物のことです。水際に生育する植物もいれば、水中に生育す
る植物もいます。水草の生育形は、以下の 4 つに分けられます。

 水深などの生育環境にあわせて、生育形を変える種も多くいま
す。加えて、抽水葉と沈水葉を同時に出すなど、異なるタイプの
葉を同時に出す植物もいます(これを異形葉性といいます)。
 水辺と陸上の境界は不明瞭で、水草の定義は、人によって様々
です。本書では、一定の定義に従って日本に生育する水草をまと
めた『ネイチャーガイド 日本の水草』(角野 2014)に掲載されて
いる植物を水草と定義しました。その中から、関東から西日本で
比較的よく見られる水草 133 種類(名前だけ登場するものも含む)
に加え、車軸藻類 4 種を収録しました。

抽水植物:根を地面にはり、茎や葉などの一部が水上にでる。 

     水深が浅い場所を好む。 
浮葉植物:水底にある根から茎や葉柄を伸ばし、葉が水面に展開

     する。浅くなく深くもない場所に多い。
沈水植物:植物体全体が水中に沈む。ただし、花や果実が水上に

     出る場合もある。水深が深い場所に多い。
浮遊植物:根を含む植物体全体が、水中、あるいは水面を漂って

     生育する。浅いところから深いところまで生育する。

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生育形と対応した水草の分布のイメージ図.浅いところから深いところ

かけて,概ね抽水植物→浮葉植物(浮遊植物)→沈水植物というように入

れ替わっていく.

抽水植物:①ヨシ,②オモダカ,③ガマ,⑤ミクリ,⑥コウホネ

浮葉植物:⑧ヒルムシロ,⑫ヒシ

浮遊植物:④ウキクサ,⑦イヌタヌキモ,⑨マツモ,⑪トチカガミ

沈水植物:⑩ミズオオバコ,⑬セキショウモ

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水 草 の 生 え る 場 所

 水辺といっても様々な環境があります。ここでは、水草の代表
的な生育環境を紹介します。多くの水草は、根が固着しやすい水
の流れがないか緩やかな環境を好みます。沈水植物にとっては、
透明度などの水質も重要です。

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①湖沼:特に広くて浅い湖沼には,

多くの水草が生える.

②ため池:国内に膨大な数がある

ため池は,水草の主要な生育環境

の一つ.

③水田:豊富な水草が見られる水

田は最近減っている.休耕田が水

草の良い生育地になることも.

④河川:流れの緩やかな川には,

水草も多い.

⑤水路:ちょっとした水路にも,

水草が生育することがある.

⑥海:海にも水草が生育すること

もある.本書には海に生える水草

は登場しない.

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水 草 の 調 べ 方

1.水草の生えている場所を探す

 水草がたくさん生えている場所を一から探すのは、たいへんで
す。初心者のうちは、大きな湖沼の沿岸やため池の堤防を歩いて
みるとよいでしょう。特に大きな湖沼では、様々な水草を観察で
きる可能性が高いです。
 なれてきたら、自分で水草の生えている場所を探してみましょ
う。一般に、遠浅で日当たりがよく、水の透明度が高い水辺に、様々
な水草が生育しています。市街地の中心にあるようなため池には、
水質汚濁や外来種の影響で水草があまり生育していません。

2.水草を採集する

 最初のうちは、長靴を履いて岸を歩いてみてください。手が届
かない場所に生えている水草を採集する時には熊手型の採集器が
あると便利です。熊手型の採集器は、釣り具店で購入できる「タ
モ網の柄」に「イガイ取り器」を取り付けることで自作できます。
また、訪れた水辺の様子を写真に撮っておきましょう。
 水辺は、常に危険が伴います。足元や周囲に注意しながら、で
きれば水草調査の経験者と一緒に必ず 2 人以上で行動するように
しましょう。水辺は日陰がない場合も多いので、帽子と飲み物は
必須です。また、採集許可が必要な場所かどうかも事前に調べて
おくようにしましょう。

 水草がたくさん生えている湖沼を探す時に、インターネットの
空中写真閲覧サービスが便利です。水辺の場所がわかるだけでな
く、水面がうっすら緑色に色づいていると、水草が生えていると
判断できます。

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水草が豊富な山間部のため池

水草がほとんどない市街地のため池


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3.標本をつくる

 採集した植物を持ち帰り、丁寧に観察した上で、標本として残
すことは大切です。標本を残しておけば、形態を再確認したり、
専門家に見てもらうことができます。標本の作り方については詳
しく知りたい人は、環境省のモニタリングサイト 1000 の web ペー
ジ(http://www.biodic.go.jp/moni1000/)に公開されている水生
植物調査マニュアルを参照してください。

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水草調査の道具.長靴,胴長靴,

防水カメラ,熊手型採集器,アン

カー型採集器,クーラーボックス.

標準的な水草調査の出で立ち.濡

れても大丈夫なように合羽を着用.

日差し対策の帽子も忘れずに.

アンカー型採集器による採集.岸

から離れた場所の水草も採れる.

水をよく切り,ビニール袋に入れ

て水草を持ち帰る.

大きな湖沼などではゴムボートを

使った採集をすることも.

偏光サングラスがあると水中の水

草の様子が良く見えるので便利.

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図 鑑 ペ ー ジ の 見 方

①科名、②和名および③学名 原則、文一総合出版の『ネイ 
  チャーガイド 日本の水草』(角野 2014)にしたがった。掲
  載の順序もこの書籍の順序にしたがったが、編集の都合で
  順序を入れ替えたものもある。
④国内分布 図鑑に書かれている国内の分布を示した。
⑤開花時期 図鑑および著者らの観察記録にもとづきだいたい
  の開花時期を示した。
⑥絶滅危惧ランクと特定外来生物 環境省の第四次レッドリス
  トに掲載されている種類について、そのランクを示した。
  また、外来生物法で飼育・栽培・保管・運搬が禁止されて
  いる特定外来生物である場合、その情報を示した。
⑦生育形 2 ページで説明した水草の 4 つの生育形について示
  した。複数の生活形が頻繁に見られるものについては複数
  のアイコンを載せた。
⑧在来種・外来種:どちらかを示した。
 在来種:その地域に自然に分布している生き物。
 外来種:人の活動によって自然の分布の範囲外に運ばれた生
     き物。
 これらの定型項目に加えて、解説文と写真で日本で見られる
水草の魅力をお届けします。本書で使われている写真は日本各
地で撮影されたものです。
 解説文では平易な用語を使うように心がけました。頻繁に出
てくる専門用語については語句説明で解説しました。分からな
い言葉がある場合は図鑑や辞書などで確認してください。

種の解説ページの定型項目の例

沈水

   植物

トチカガミ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

準絶滅危惧種

ミズオオバコ

在来種

Ottelia alismoides (L.) Pers.

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語 句 説 明

一年草・多年草:種子から発芽し、1年以内に花と実をつけ、

  全体が枯れる草を一年草、少なくとも2年以上生存して2
  回以上花と実をつける草を多年草という。全体が枯れたよ
  うに見えても、種子とは別に体の一部が休眠のための器官
  (越冬芽・越夏芽など)になるものは、一年草ではなく多
  年草である。
地下茎・根茎・塊茎:地下茎は地下にある茎の総称で、様々な

  はたらきがある。地中で横に伸び、根を出して水底に固 
  着する役割をもつものを根茎と呼ぶことがある。ウキヤガ
  ラなどの,越冬するために肥大した地下茎を,塊茎と呼ぶ。
越冬芽・越夏芽:一般に、冬を越すための芽を越冬芽という。

  本書では夏を越すための芽を越夏芽とした。
雌雄異株・雌雄同株:おしべとめしべが同じ株に混在せず別々

  の株につくことを雌雄異株(しゆういしゅ)、同じ株に混
  在してつくことを雌雄同株(しゆうどうしゅ)という。 
株立ち:根元から複数の茎がまとまって出ること。

花序:花が複数つくときに、花の集まり全体を指す。

花茎:花や花序をつけ、普通の葉をつけない茎。

:花序や花の基部にある普通の葉とは異なる形をもつ葉。

互生・対生・輪生・根生:茎の 1 つの節に 1 つの葉がつくこと

  を互生、2 つの葉がつくことを対生、3 つ以上の葉がつく
  ことを輪生という。茎の基部につき地面にまとまって葉が
  広がることを根生という。
沈水葉:水中に広がる葉。気孔がないなど、水中での光合成の

  ために特殊化している。一般的に繊細で薄い。
浮葉:水面に広がる葉。空気に接する表面と水中に接する裏面

  で特徴が異なる。
抽水葉:空気中に広がる葉。多くの植物がもつ普通の葉と共通

  した特徴をもつ。
葉 :茎をつつむように 状となった葉の基部。イネ科、カヤ

  ツリグサ科、ヒルムシロ科の一部に見られる。
鋸歯:葉の縁などの器官にあるギザギザのこと。

近縁種:生物の進化や分類上、近い類縁関係にある種。

雑種:異なる種(亜種、変種)が交配してできたたもの。

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抽水

  浮葉

浮遊

   植物

 四つ葉のクローバーにそっくりな、水田、池や沼に生える多年草。漢

字で書くと「田字草」で、4 枚の小葉が「田」の字に似ているから。かつ

ては水田雑草だったが、現在では極めてまれ。この植物を見つけたら四

つ葉のクローバーを見つけるよりも、きっと幸せになれるに違いない。

浮葉

   植物

デンジソウ科

国内分布:本州∼沖縄
胞子嚢果のある時期:8 ∼ 11 月

外来種

絶滅危惧 II 類

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Marsilea quadrifolia L.

デンジソウ

在来種

 南米原産で観賞用に栽培される。温暖な地域では、水路や池で爆発的

に増える。密についた葉が二つ折りになった姿は、在来のサンショウモ

とは全く異なる。3枚の葉が輪生し、そのうちの2枚が浮葉となる。

サンショウモ科

国内分布:本州・沖縄

オオサンショウモ

Salvinia molesta D.S.Mitch.

①生育の様子.②葉の根元には胞子が詰まった丸い胞子嚢果(ほうしのうか)が付く.

①成熟し葉が二つ折りなったオオサンショモ.未熟な個体は葉が二つ折りにならな
い.②サンショウモ.オオサンショウモより小ぶりで水田やため池に生育する在来種.
③オオサンショウモの葉の表面の毛.1 束 4 本で先端が連結する.④サンショウモの
葉の表面の毛.先端は連結しない.

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抽水

   植物

浮遊

   植物

 湖沼、ため池、水田などに生育するシダ植物。群生して水面がオレン

ジから赤く染まった景観は異様。外来種であるニシノオオアカウキクサ

とアメリカオオアカウキクサの人工雑種で、これらをまとめて「外来ア

ゾラ」と呼ぶ場合もある。

サンショウモ科

国内分布:本州・四国・九州

外来種

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ア イ オ オ ア カ ウ キ ク サ

 池や沼、水田に生育する一年草。かつて日本国内のものは全てミズワ

ラビとされてきたが、熱帯に分布するミズワラビと温帯に分布するヒメ

ミズワラビの2種に分けられた。本州から九州にはヒメミズワラビのみ

が分布し、沖縄には両種が分布する。

イノモトソウ科

国内分布:山形県以南∼沖縄
胞子葉のある時期:8 ∼ 11 月

ヒ メ ミ ズ ワ ラ ビ

①アカウキクサの仲間の比較.とてもよく似ている.②池の一面に群生する様子.

①②葉の切れ込み方は様々.ヒメミズワラビを探すなら稲刈り後の水田がオススメ.

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Azolla cristata Kaulf.

x

 A. filiculoides Lam.

オオアカウキクサ(在来)

アメリカオオアカウキクサ

ニシノオオアカウキクサ

アイオオアカウキクサ

アカウキクサ(在来)

在来種

Ceratopteris gaudichaudii Brongn.

var. vulgaris Masuyama et Watano

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浮葉

   植物

沈水

   植物

 湖沼、ため池に生育する多年草。落ち葉が溜まって水の色が茶色くなっ

た池や貧栄養な水辺に、ヒツジグサやフトヒルムシロと一緒に生えてい

ることが多い。風で花粉を散布する風媒花をつける。葉の裏や茎、若芽

は寒天質の粘液に覆われており、ヌルヌルしている。

ハゴロモモ科(ジュンサイ科)

国内分布:北海道∼九州
開花時期:6 ∼ 8 月

外来種

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ジ ュ ン サ イ

 湖沼やため池に生育する多年草。別名フサジュンサイ。鑑賞用に持ち

込まれたものが逃げ出し、各地で野生化している。「カボンバ」として売

られている水草は本種。細かく切れ込んだ沈水葉は美しく観賞価値は高

いが、水の底が見えないほどに群生する様子は全く可愛らしくない。

ハゴロモモ科(ジュンサイ科)

国内分布:北海道∼九州
開花時期:7 ∼ 10 月

ハ ゴ ロ モ モ

Cabomba caroliniana A.Gray

花は①まず雌しべが,②次に雄しべが伸びる.③葉は楕円
形.④若芽は食用.著者は酢醤油で食べるのが好き.

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Brasenia schreberi J.F.Gmel.

在来種

①白い花が水面から立ち上がる.花の咲く頃には小さくて細長い浮葉をつける.

②沈水葉は細かく切れ込んで扇状になり対生する.

3cm

浮葉


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浮葉

   植物

 湖沼やため池に生える一年草。成長した浮葉は直径2mを超えることも。

全体に鋭い刺があり、採集する際には厚いゴム手袋を着用しないと血ま

みれになるので要注意。花は水面に出て咲く開放花と、水中で閉じたま

ま実る閉鎖花があり、開放花はほとんど実らないことが知られている。

スイレン科

国内分布:本州∼九州
開花時期:7 ∼ 9 月

絶滅危惧 II 類

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オ ニ バ ス

①オニバスの花(開放花).②葉はとても大きい.表面がでこぼこしている.

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Euryale ferox Salisb.

在来種

 水草の中には埋土種子をつくるものがあります。埋土種子とは、発
芽能力を維持したまま土の中で眠っている種子のことです。オニバス
も埋土種子をつくる植物で、あるときひょっこりと埋土種子から発芽
した株が出てくることが知られています。写真のオニバスは小林智さ
んと小林温さんが発見したものですが、前年までは同じ場所にオニバ
スはなかったそうです。この場所は大阪市内の住宅地のど真ん中。空
き缶が写っていることから
も良い環境ではなさそうで
す。この川では 1998 年に
オニバスの生育が確認され
ており、写真のオニバスは
埋土種子から発芽したのだ
と思います。埋土種子の寿
命は永遠ではなく、オニバ
スの場合、数十年だろうと
推定されています。

コラム:ひょっこり出てくるオニバス

大阪市東住吉区の今川でひょっこり出てきた

オニバス.2013 年 7 月 31 日撮影.

スマホは横見推奨


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 湖沼、ため池、河川、水路に生育する多年草。太い地下茎の先に、
黄色い花と矢じり型の葉(沈水葉・浮葉・抽水葉)をつける。北
日本ではよく出会うが西日本では珍しい。抽水葉は大きいもので
は、30cm 以上。生育地の水深は 1m を超える場合もある。採集
には胴長靴を忘れずに!

スイレン科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:6 ∼ 10 月

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コウホネ

在来種

①②③近縁種のサイコクヒメコウホネ.西日本に多い.葉は卵型で抽水

葉をつけることも.④近縁種のオグラコウホネ.葉は卵型で浮葉しか出さ

ない.⑤コウホネ.⑥コウホネの沈水葉(左2枚)と抽水葉(右).⑦オグ

ラコウホネの地下茎.白くて骨にも見える地下茎は漢字の河骨(かわほね)

の語源になったとされる.乾燥した地下茎は薬用になる.

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Nuphar japonica DC.

抽水

   植物

浮葉

   植物

沈水

   植物


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浮葉

   植物

浮葉

   植物

 湖沼やため池、湿地に生える多年草。名前の由来は「未(ひつじ)の刻(午

後 2 時頃)に花が咲くから」とされるが、朝から咲くこともある。花は

咲き終わると、水中に沈み、果実が実る。スイレンの仲間の写真や絵画

は数多くあるが、花と果実が一緒に見られないのはこの特徴のため。

スイレン科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 11 月

外来種

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ヒ ツ ジ グ サ

 園芸スイレンとは海外のスイレン属の野生種の交配によってできた園

芸種の総称。花は大きく、色も様々で美しい。公園などに植栽され、身

近な水草の一つ。しかし、ひとたび湖沼やため池で野生化すると水域を

覆いつくし、在来の水草や生態系に甚大な被害を及ぼす。

スイレン科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 10 月

園 芸 ス イ レ ン

Nymphaea cv.

①浮葉と花.葉の形は卵形.②花.がくは 4 枚だが,花びら,おしべは多数で数は決
まっていない.③水中で撮影した芽生え.芽生えのときは薄い沈水葉だけ付ける.

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Nymphaea tetragona Georgi var. tetragona

在来種

①②③葉は丸く,赤色や黄色の大きな花をつける.④ヒツジグサと園芸スイレンの

地下茎の比較.ヒツジグサの地下茎は横には伸びないが,園芸スイレンの地下茎は

横に伸びる.そのため園芸スイレンは水面を覆いつくすように葉を出す.

5cm

ヒツジグサ 園芸スイレン


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浮遊

   植物

2cm

抽水

   植物

 湖沼、ため池、水路に生育する多年

草。剣状の葉は地下茎の先端につき、

独特の匂いがある。端午の節句の菖蒲

湯に使うのはこの植物の葉であり、ア

ヤメ科のハナショウブは全く別の植

物。太い軸にびっしりと敷き詰められ

たように花がつく花序の様子はルーペ

で拡大して見るとよくわかる。

ショウブ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:5 ∼ 6 月

外来種

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シ ョ ウ ブ

 別名ウォーターレタス。爆発的に増殖し、湖沼やため池、河川の水面

を覆いつくす。船の航行の邪魔になるほか、冬になって枯れると水底に

堆積し、二枚貝などの水生生物に大きな影響を与える。温水が流れ込ん

でいたり、湧水がある場所では越冬する可能性がある。

サトイモ科

国内分布:関東以西∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

ボ タ ン ウ キ ク サ

Pistia stratiotes L.

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Acorus calamus L.

在来種

①葉は大きく毛が密生.葉の付け根にある白くて丸いのが花.

「レタス」と付くがシュ

ウ酸カルシウムを含み食べられない.②小さな株.③水面を覆い尽くすことも.

①花序の拡大.小さい花がたくさんつく.

②葉には筋が 1 本ある.③全体の様子.

特定外来生物


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浮遊

   植物

 湖沼、ため池、水田や水路に群生する多年草。最もよく見る浮
遊植物の一つ。葉だけが浮いているように見えるが、これは葉と
茎が融合したもので葉状体と呼ばれる。円形から卵型の葉状体か
ら複数の根が出る。よく似たアオウキクサやコウキクサなどのア
オウキクサの仲間もよくも見かけるが、葉状態ごとに根が 1 本な
ので区別可能。まずは根を見てアオウキクサの仲間とウキクサを
区別できるようになろう。

サトイモ科

国内分布:北海道∼沖縄

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ウキクサ

在来種

①ウキクサ.アオウキクサの仲間よりも大きい.②ウキクサの根.葉状体

から複数本出る.③アオウキクサの仲間の根.1 つの葉状体から 1 本だけ

出る.写真はナンゴクアオウキクサ.④開花したミジンコウキクサ.葉状

体は 1mm 以下で根はない.世界最小の種子植物.開花は珍しい.

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Spirodela polyrhiza (L.) Schleid.


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抽水

   植物

 湖沼、ため池、水田などに生育する多年草。葉は名前の通りヘラ型を

していて柄との区別がはっきりしない。よく似たサジオモダカは葉が「サ

ジ」の形になる。「ヘラ」の形はすこぶる多様で、どこまでがヘラでどこ

からかサジなのか悩むことも。花茎は枝を3本ずつ出して何段か輪生する。

オモダカ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:7 ∼ 9 月

22

ヘ ラ オ モ ダ カ

1

3

2

Alisma canaliculatum

A.Braun et C.D.Bouché ex Sam. var. canaliculatum

在来種

①ヘラオモダカの全体の様子.柄が明瞭でなくヘラ形.②ヘラオモダカの花.雄し

べは 6 本,雌しべは多数.③サジオモダカ.柄との境が明瞭でサジ型.

 オモダカ科の植物の葉の形は、矢じり型、へら型、卵型などがあり、
変異に富みます。葉の形が和名や学名に関係していることもあり、オ
モダカの仲間のグループを大まかに見分ける場合に葉の形が参考にな
ります。まずは葉の形を覚えると良いですが、芽生えのときはみんな
ウリカワのような細い葉をつけます。葉の形だけで名前を決めると間
違うこともあるので注意しましょう。

コラム:オモダカの仲間の葉

オモダカ

ウリカワ

ヘラオモダカ

サジオモダカ

マルバオモダカ

10cm


background image

抽水

   植物

 湖沼、ため池、水田に生育する多年草。コナギ、ウキクサ、ア
オウキクサと一緒に水田でよく見られ、日本の田んぼの不動のレ
ギュラーメンバー。矢尻形の葉が特徴的だが、春先の葉は細長く
でウリカワやコナギと紛らわしい。

オモダカ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

23

オモダカ

在来種

①オモダカの全体像.②雄花.③雌花.④前年にできた塊茎から成長したオ

モダカ.食用のクワイはオモダカを栽培化したもので肥大した塊茎を食

べる.⑤同じオモダカ科のマルバオモダカの花.花びらの縁がギザギザ.

葉は隣のコラム参照.⑥オモダカによく似たアギナシは根元にむかごが付

くのが特徴.⑦ウリカワ.細い葉は包丁でむいた瓜の皮のよう?

1

2

3

Sagittaria trifolia L.

5

6

7

4

塊茎

塊茎

かいけい

1cm

1cm


background image

在来種

沈水

   植物

沈水

   植物

 ため池や水田に生育する一年草。茎は目立たず、根生葉が出る。細長

い葉の先端は鋭く尖る。農薬が普及する前は田んぼで普通にみられたと

言われるが、今では極めてまれ。よく似たマルミスブタとは種子の突起

で区別する。名前の由来は中華料理とは関係が無い。

トチカガミ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

24

ス ブ タ

 ため池や水田に生育する一年草。茎が伸び、細長い葉が互生する。水

面からちょこんと出た白い花を見つけることができるとちょっと嬉しい。

めずらしい植物ではあるのだが、スブタやマルミスブタの方が少ないの

で、近づいてみてヤナギスブタだった時はちょっとがっかりする。

トチカガミ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

ヤ ナ ギ ス ブ タ

Blyxa japonica (Miq.) Maxim. ex Asch. et Gürke

1

2

3

Blyxa echinosperma (C.B.Clarke) Hook.f.

在来種

①生えている様子.②スブタの茎はほとんど伸びず,水底から葉を出すが,ヤナギ

スブタの茎はよく伸び,よく枝分かれする.③花を咲かせた株.花弁は 3 枚.

1

2

3

4

①浅い水中に生える.②花.花びらは白くて細長く完全に開かない.③スブタの種子.

突起が目立つ.④マルミスブタの種子.突起がない.

絶滅危惧 II 類

1cm

1cm


background image

沈水

   植物

 湖沼やため池、河川、水路に生育する多年草。外来種である南
米原産のオオカナダモや北米原産のコカナダモと似ているが、葉
が 3 ∼ 8 枚で、縁に鋸歯が目立つことを確認できればクロモであ
る可能性が高い。

トチカガミ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

25

クロモ

在来種

①クロモ・オオカナダモ・コカナダモの葉の比較.②水中のクロモ.光合

成で生じた酸素が気泡になっている.③オオカナダモの生えている様子.

④水中のコカナダモ.⑤クロモの雌花と⑥雄花.クロモには雌雄異株と雌

雄同株の両方の株があることが知られていて,越冬芽の様子が違う.⑦オ

オカナダモの花.白くて美しいためか,たまにバイカモと間違えられる.

1

2

3

Hydrilla verticillata (L. f.) Royle

5

6

7

4

1cm

クロモ

オオカナダモ

コカナダモ


background image

3cm

5mm

1cm

在来種

沈水

   植物

 湖沼やため池、水路に生育する多年草。茎は水面付近を伸び、節から

根と葉を出す。円い葉の裏側はスポンジ状になって浮きのような役割を

果たしている。葉が密になり、立ち上がると浮きの部分ははっきりしな

くなる。

トチカガミ科

国内分布:本州∼九州
開花時期:8 ∼ 10 月

26

ト チ カ ガ ミ

 比較的環境のよい水田で目にする一年草。ため池にも生える。トリゲ

モの仲間の中では特に細い葉をもち、対生もしくは輪生する。節に果実

が2つ並ぶことが多く、これも確認すればバッチリ。トリゲモ類を葉の

太さで区別できるようになれば水草上級者。

トチカガミ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:6 ∼ 9 月

イ ト ト リ ゲ モ

Najas japonica Nakai

1

2

Hydrocharis dubia (Blume) Backer

在来種

①イトトリゲモの全体像.②2つ並んだ果実.1つだけのこともあるので注意.

1

2

①白い花を咲かせ,雄花と雌花がある.②トチカガミの越冬芽.秋になると茎の先

端に越冬芽ができて水中に沈む.翌年の春,越冬芽から発芽する.

準絶滅危惧

準絶滅危惧

浮遊

   植物

浮葉

   植物

抽水

   植物


background image

2cm

1cm

沈水

   植物

 湖沼やため池に生育する一年草。茎はよく枝分かれして広がり、
群落を上から眺めるとこんもりとしている。トリゲモの仲間はよ
く似ている。葉の太さ、鋸歯の程度、葉 の先端が尖るかどうか、
葯の部屋の数、節につく果実の数や形、種子の表面の模様が識別
のポイントとなる。

トチカガミ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

27

オオトリゲモ

在来種

①オオトリゲモ.②葯.③イバラモ.葉の縁が棘状になり,ほかのトリゲ

モの仲間よりも大型で太い.④ホッスモ.⑤ホッスモの葉の基部は 状に

なり先端が尖っている(矢印の部分)ので正確な同定の際には要確認.

1

2

3

5

4

Najas oguraensis Miki


background image

沈水

   植物

 湖沼、ため池、水田や水路に生育する一年草。オオバコの葉の
形に似た美しい沈水葉を根から複数出す。水田に生えるものは小
さいが、ため池では別種と思うほど大きく育つ。とても美しい水
草なので田んぼやため池でぜひ探して欲しい。

トチカガミ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

絶滅危惧Ⅱ類

28

ミズオオバコ

在来種

①ミズオオバコの全体像.葉は水中にあるが花は水面から出る.葉はオ

オバコに似るが,オオバコとは全く違うグループの植物.②花は白色から

薄いピンク色で,花びらの外側に行くほどピンクが強くなる.③果実の表

面にはひだが目立つ.

1

2

3

Ottelia alismoides (L.) Pers.


background image

2cm

沈水

   植物

 湖沼、ため池、河川や水路に生育する多年草。葉は細長いテー
プ状で根生し、地下茎を出して株を増やす。雌雄異株で、雄花は
ちぎれて水面を漂い、水面まで伸びた雌花と受粉する。受粉後、
雌花の花柄は黒電話の受話器のひものようにらせん状になり、水
中で結実する。変種にネジレモ、近縁種にコウガイモがいる。

トチカガミ科

国内分布:本州・九州
開花時期:8 ∼ 10 月

29

セキショウモ

在来種

①セキショウモ.②セキショウモの雌花と

③雄花.④近縁種のコウガイモ.地下茎に

は刺があり,秋になると茎の先端に越冬芽

を作る.⑤セキショウモのらせん状の花柄.

⑥セキショウモの変種のネジレモ(琵琶湖

水系固有)は葉が強くねじれる.

1

2

3

Vallisneria asiatica Miki

5

6

4

越冬芽

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浮葉

   植物

沈水

   植物

浮葉

   植物

在来種

 湖沼、ため池、河川、水路や水田に生える多年草。水田雑草と言えばこれ。

群生して楕円形の浮葉が水面を覆う様子は、 (むしろ)を引いたよう

に見えなくもない。細長い沈水葉には葉柄がある。

ヒルムシロ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:5 ∼ 10 月

30

ヒ ル ム シ ロ

 湖沼や河川、水路に生育する多年草。ササの葉のようにも見える沈水

葉はヒルムシロの仲間の中でも特に大きく、細長い楕円状で葉柄がある。

先端がツンと尖るのが特徴。

ヒルムシロ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 9 月

サ サ バ モ

Potamogeton wrightii Morong

1

2

3

Potamogeton distinctus A.Benn.

在来種

①水中に生える様子.花序も出ている.②葉と花.葉の先は尖る.③干上がった場所

では葉の雰囲気が全く変わり,ほかのヒルムシロ科の植物との区別が難しい.

1

2

3

①葉は水面に広がる.水面から飛びでた棒状のものは花序.②浮葉と沈水葉を付け

たヒルムシロ.沈水葉にははっきりとした柄がある.③花序の様子.いぼのように

見えているのが雌しべ.いぼの集まりそれぞれが一つの花.

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4cm

沈水

   植物

沈水

   植物

在来種

 湖沼、ため池、河川、水路に生育する多年草。流れの速い水路ではヤ

ナギモ、ホソバミズヒキモなどとともによく見る水草。葉の縁は波うち、

先端は円く、葉柄は無い。

ヒルムシロ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:5 ∼ 9 月

31

エ ビ モ

 湖沼やため池、河川に生育する常緑の多年草。葉の縁には鋸歯があり、

先端は凸状になる。葉柄は無く、葉の基部は 状になる。葉の先端と

状の部分を確認できればセンニンモと考えて良い。雌しべは2つだが花

をつけた個体に出会うのはまれ。

ヒルムシロ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:6 ∼ 8 月

セ ン ニ ン モ

Potamogeton maackianus A.Benn.

1

2

3

Potamogeton crispus L.

在来種

①水中に生える様子.②全体の様子.③④葉先は凸状で,基部は 状になり茎を包む.

1

2

3

①水中の様子.②花.③葉と茎が変形した芽(越冬芽・越夏芽).ため池などでは夏

に枯れ,秋になるとこの芽から発芽して冬を越す.

4

background image

浮葉

   植物

沈水

   植物

 ため池、水路などに生育する多年草。ため池では 2 ∼ 3cm の浮葉をつ

ける。幅1 mm 以下のとても細い沈水葉を持ち、葉脈は 1 本。秋になる

と葉と茎の付け根に越冬芽をつける。よく似たイトモは浮葉をもたず、

沈水葉は葉脈 3 本で少し幅広く、越冬芽はより大きい。

ヒルムシロ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 9 月

32

ホ ソ バ ミ ズ ヒ キ モ

1

1cm

3

2

Potamogeton octandrus Poir.

在来種

①浮葉,沈水葉,花を出したホソバミズヒキモ.②全体の様子.茎の真ん中より下

の節から出ている細長いのが沈水葉.③ホソバミズヒキモとイトモの越冬芽の比較.

ヒルムシロの仲間の葉の多様性.①イトモ,②ツツイトモ,③ホソバミズヒキモ,

④コバノヒルムシロ,⑤ヤナギモ,⑥センニンモ,⑦エビモ,⑧ヒロハノエビモ,

⑨ササバモ,⑩ヒルムシロ,⑪オヒルムシロ,⑫フトヒルムシロ.③④⑩⑪⑫につ

いては沈水葉と浮葉の両方を持つので,沈水葉の上に浮葉を示した.

 ヒルムシロ科ヒルムシロ属の植物の葉の形は実に多様です。種ごと
の違いはもちろんのこと、同じ種であっても沈水葉と浮葉で全く形が
異なることも。ヒルムシロ属は水草の中で最も多くの種を含み、いろ
んな場所に生育していますが、識別がとても難しいグループです。ま
ずは、典型的な葉の形を見分けるところからはじめましょう。

コラム:ヒルムシロの仲間の葉

ホソバミズヒキモ

イトモ

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

5cm

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抽水

   植物

在来種

 湖沼やため池、河川、水路に生育する多年草。黄色い花は美しく、植

栽されることも多いが、各地に逃げ出している。湿地に生える在来種の

カキツバタは花が青紫色。また、キショウブの中央の葉脈は明瞭なので、

花がなくてもカキツバタと区別できる。

アヤメ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:4 ∼ 6 月

33

キ シ ョ ウ ブ

外来種

 湖沼やため池、河川、水路、水田に生育する一年草。葉は互生して基

部は 状になる。うすピンク色の花びらが 3 枚あり、雄しべは 6 本、雌

しべは 1 本。湖沼やため池では、完全に水中に沈んで、沈水植物として

生育していることがある。

ツユクサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

イ ボ ク サ

Murdannia keisak (Hassk.) Hand.-Mazz.

Iris pseudacorus L.

①花をつけた抽水状態のイボクサ.②沈水植物として生える様子.

1

2

1

2

①水際に群生している様子.②花.外側に 3 枚,内側に 3 枚の花被片からなる.

抽水

   植物

background image

抽水

   植物

外来種

浮遊

   植物

①水面を覆い尽くす様子と花.②葉柄は布袋様のお腹の様に膨らんで浮きの役割を

する.株が増えすぎた場所や浅い場所では右側の株のように浮きが細くなる.

在来種

 定番の園芸植物だが、全世界で問題になっている大害草。横に伸びた

茎から子株をどんどん増やして水面を覆う。株によって雌しべの長さに 3

タイプあり、日本には長いものと中くらいの株が定着している。

ミズアオイ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:6 ∼ 11 月

34

ホテイアオイ

 オモダカとともに最もよく見る水田雑草で一年草。ナギとはミズアオ

イの古い名前で、より小さいことが和名の由来。花茎は短く、ハート型

の葉の位置よりも高くなることは無い。薄紫色の花には雌しべが 1 本、

黄色い葯を持つ雄しべ 5 本と青い葯を持つ雄しべが 1 本ある。

ミズアオイ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

コナギ

Monochoria vaginalis (Burm.f.) C.Presl ex Kunth

1

2

Eichhornia crassipes (Mart.) Solms

①コナギの葉と花の断面.②近縁種のミズアオイ.コナギと違い花茎が葉より高い.

1

2

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ミクリ

ナガエミクリ

ヤマト

ミクリ

5mm

抽水

   植物

 湖沼や河川、水路に生育する多年草。名前の由来は果実の集ま
りがクリの「いが」に見えるためで、棘に見えるひとつひとつが
果実。果実はコルク質で水に浮いて散布される。ミクリの仲間は
果実の形と花序の付き方が識別のポイント。

ガマ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:6 ∼ 9 月

35

ミクリ

在来種

①ミクリ.花茎は枝分かれする.茎の下の方には雌花の丸い集まり,上

の方には雄花の集まりがつくのがミクリの仲間の共通点.②ナガエミク

リ.一番下の雌花の集まりには柄があるので名前に「長柄」がつく.③ヤ

マトミクリ.雌花の集まりは花茎に直接,しかも葉と葉の間につく.④結

実したミクリ.クリに似ている?⑤ナガエミクリの沈水葉.セキショウ

モと間違えられることがある.⑥ナガエミクリの沈水葉の縁にはギザギザ

がなく,葉脈がはっきりする.セキショウモの葉の縁にはギザギザがあり,

葉脈がはっきりしない.⑦3 種の果実の比較.

1

2

3

Sparganium erectum L.

4

ナガエミクリ

セキショウモ

5mm

6

5

7

準絶滅危惧

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50µm

抽水

   植物

48

 高地以外のあらゆる水辺に生える多年草。ソーセージのように
見える花序は雌花の集まり。雄花の集まりは雌花の集まりの上に
つき初夏に開花する。花序は 12 月ごろまで見られ、冬の晴れた
日に無数の微小な果実を散布する。ぜひ一度は「開けた屋外」で
ガマの果実を散布させてみて欲しい。

ガマ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:関西では 6 月

36

ガマ

在来種

①果実期のガマ.大型で良く目立つ.②ガマの仲間の花の比較.左からガ

マ,コガマ,ヒメガマ.上側のもこもこしたのが雄花の集まりで,下側

が雌花の集まり.ヒメガマは雄花の集まりと雌花の集まりの間に 間が

ある.③ガマの仲間の葉の比較.左からガマ,コガマ,ヒメガマ.コガマ

はガマよりも葉が細く,幅 1cm 以下.④種子散布中のガマ.⑤ガマの花粉

は 4 つ集まる.⑥コガマの花粉と⑦ヒメガマの花粉は 1 つずつばらばら.

1

2

3

4

5

6

7

Typha latifolia L.

50µm

50µm

ガマ

ガマ

コガマ

ヒメガマ

コガマ

コガマ

ヒメガマ

1cm

間がある

間がない

間がない

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外来種

抽水

   植物

在来種

 湖沼、ため池、河川、水田などに生育す

る多年草。別名は「イ」。株立ちして見え

ているものは全て茎。花茎は花が出て来る

ところまで。そこから先は花序の下から伸

びる苞。本当の葉はこの花茎の根元を 状

に包んでいる。畳やゴザに使われるのは コ

ヒゲ と呼ばれる栽培品種。

イグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:5 ∼ 9 月

37

イ グ サ

 湖沼や河川、水路に生育する多年草。見た目はイグサだが2m近くま

で大きくなる場合もある。花茎を縦に裂いた断面は、イグサはスポンジ

状で詰まっているが、コゴメイは「はしご状」になっている。実際には

複数の外来種が日本に侵入しているようで、コゴメイとはこれらの総称。

イグサ科

国内分布:本州
開花時期:5 ∼ 9 月

コ ゴ メ イ

Juncus sp.

Juncus decipiens (Buchenau) Nakai

1

2

1

2

3

①花序.たくさんの小さな花が付く.②根元の 状の葉(矢印).③全体の様子.

①株立ちして生えてる様子.②イコゴメイとイグサの花茎の縦断面の比較.

↑コゴメイ

↑イグサ

5mm

抽水

   植物

background image

在来種

抽水

   植物

在来種

 湖沼、ため池、河川の岸辺、水田に生育

する多年草。茎の上部で盛んに枝分かれし

て、4∼9個の花が球状に集まった花序を

つける。名前の由来は、全体がサトイモ科

のセキショウに似ていて、 平な茎を髪結

い道具の笄(こうがい)に見立てたもの。

イグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 7 月

38

コ ウ ガ イ ゼ キ シ ョ ウ

 湖沼やため池、水田に生育する一年草。幅2mm 程度の細い葉を根生し、

10cm 程度の花茎の先端に灰白色の球状の花序をつけ、カワイイ。名前は

この頭花を星に見立てたもので、

「干し草」ではない。現在、水田ではめっ

きり数を減らしていて、出会うと嬉しい水草のひとつ。

ホシクサ科

原産地:本州∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

ホ シ ク サ

Eriocaulon cinereum R.Br.

Juncus prismatocarpus R.Br.

subsp. leschenaultii 

(J.Gay ex Laharpe) Kirschner

1

3

2

1

2

①果実.②若い株.笄に見える?③株立ちする様子.花茎は平たい.

①ホシクサ.②近縁種のクロホシクサ.ホシクサによく似ているが花は黒っぽい.

1cm

5cm

抽水

   植物

background image

10cm

在来種

 湖沼、ため池、河川の浅い水中に生える多年草。匍匐(ほふく)する

地下茎をのばして群生する。茎は三角形で節から葉を伸ばす。茎の先端

には穂が数個つき、このすぐ下に数枚の苞がかたまってつく。冬になる

と枯れて茎が浮き、矢柄のように見えるというが、ぜひ確かめて欲しい。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:5 ∼ 8 月

39

ウ キ ヤ ガ ラ

Bolboschoenus fluviatilis (Torr.) Soják

subsp.  yagara (Ohwi) T.Koyama

1

2

①花を咲かせた株.②地下茎の節は球状に肥大化し,枯れた後も残る.

駆除作業で集められた

オオバナミズキンバイ

 新しい外来植物にであうと、どうやってここにやってきたのかとい
う想像が掻き立てられますし、その生命力に感嘆させられることもあ
ります。日本のように貿易の盛んな国には、日々たくさんの外来種が
侵入してきますが、多くは定着できずに消えています。しかし、中に
は侵略的な外来種も含まれており、これらは繁茂すると駆除するのが
難しいため、早期に対策を行う必要があります。
 このミニガイドに出てくるオオバナミズキンバイやナガエツルノゲ
イトウなどは特定外来生物に指定されており、研究で採集や栽培をす
るには、環境省から許可を得る必要が
あります。実験方法と栽培する株数な
どを確定して許可を申請するため、実
験途中に内容を変更することは原則で
きません。種子も株として扱われます
ので、発芽試験にも許可が要ります。
特定外来生物の研究にはこのような苦
労は多いですが、社会との関連も深く
やりがいのある仕事です。

コラム:特定外来生物の研究

抽水

   植物

background image

抽水

   植物

在来種

在来種

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:3 ∼ 6 月

40

カサスゲ

 湖沼、ため池、河川の岸

辺や、湿原、水田の畔に生

育する多年草。カサスゲに

比べるとかなり小さい。ス

ゲの仲間はたくさんいる

が、水辺で出会う種の中で

草丈が 50cm 程度で葉の幅

が 2 ∼ 4mm であれば、こ

の種類の可能性が高い。2

∼ 5cm の雌花序は直立し

てつき、黄緑色の果胞と赤

褐色の鱗片のコントラスト

が美しい。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:3 ∼ 6 月

アゼスゲ

1

2

1

2

3

①花期.

②果実期.

Carex dispalata Boott

Carex thunbergii Steud. var. thunbergii

 湖沼、ため池、河川、湿原に生える多年草。低地の水辺でよく出会う

水草のひとつで、地下茎をよく伸ばして群生する。大きいものでは草丈

は 1m を超える。丈夫な長い葉は菅笠(すげがさ)や蓑(みの)に用い

られてきた。茶褐色の雄花序が茎の先につき、その下に雌花序が数個つく。

①群生するカサスゲ.②結実期の様子.③菅笠を被って調査する植物学者.

抽水

   植物

background image

10cm

5mm

2cm

抽水

   植物

在来種

在来種

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 9 月

41

マ ツ バ イ

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 10 月

ハ リ イ

Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult.

var. longiseta Svenson

Eleocharis congesta D.Don

var. japonica (Miq.) T.Koyama

 湖沼、ため池、水路に生育する一年草。細い地下茎の節から複数の茎

が伸び、茎の先端に花序が付く。松の葉よりも細い茎は長さ 10 cm に満

たない程度で、マット状に群生する。触り心地は柔らかく、広い群落の

上に寝転ぶと気持ちよいが、濡れたり泥まみれになるので要注意。

①マット状に広がる様子.②地下茎の節から茎を伸ばす.

 湖沼やため池、水田に生育する一年草もしくは多年草。地下茎を持たず、

針の様に細い茎がたくさん生えて株立ちする。花序は茎の先端につき、

草丈はマツバイより大きく 10 ∼ 20cm 程度。水中ではさらに大きくなる。

1

2

1

2

3

①株立ちして生える様子.②花序の大きさは 5mm 程度ととても小さい.③花序から

新しい茎が伸びることがあり偽胎生と呼ばれる.この茎が根付いて新しい株となる.

抽水

   植物

background image

抽水

   植物

48

 湖沼やため池、水田に生育する多年草。地下茎を伸ばし、各節
から 10 ∼ 20cm 程度の茎を 1 本だけ伸ばす。花序は花茎の途中
についているように見えるが、花序から上は花茎ではなく苞であ
る。秋には地下茎の先端に越冬芽をつくる。1 m 以上の水深でも
生育可能で、岸辺にいなくても、水底に生育していることがある。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 10 月

42

ヒメホタルイ

在来種

①ヒメホタルイが群生する様子.②花をつけたヒメホタルイ.とても小さ

い.③5 ∼ 10 mm 程度の花序を一つだけつける.④ヒメホタルイに似た 3

種の花序の比較.ヒメホタルイと異なり花序を複数付ける.タイワンヤ

マイの柱頭は 2 つに分かれる.イヌホタルイの柱頭は 2 つに分かれるこ

とが多いが,ホタルイの柱頭は 3 つに分かれる.⑤花茎の上部に伸びる苞

の長さは,ホタルイやイヌホタルイでは花茎の 1/4 から 1/6 程度だが,

タイワンヤマイは 1/2 から 1/3 程度で苞が長いように見える.

1

2

3

4

5

Schoenoplectus lineolatus (Franch. et Sav.) T.Koyama

5mm

2cm

1cm

タイワンヤマイ

ホタルイ

イヌホタルイ

イヌホタルイ

タイワンヤマイ

沈水

   植物

スマホは横見推奨

background image

3cm

抽水

   植物

在来種

在来種

 湖沼、ため池、河川、水路に生える多年草。茎の断面は三角形で、長

く伸びる地下茎はなく、茎が株立ちする。花序には柄が無い。大きなも

のは 1m を超え、慣れれば遠くからでも本種であることがわかる。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道南部∼沖縄
開花時期:6 ∼ 10 月

43

カンガレイ

 湖沼やため池、河川の岸辺に生える多年草。草丈は大きいもので 1m

を超える。カンガレイに似るが、サンカクイは地下茎を出し、花序には

柄があることがあるので識別できる。茎の断面は名前の通り三角形。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

サンカクイ

Schoenoplectus triqueter (L.) Palla

Schoenoplectus triangulatus (Roxb.) Soják

1

2

3

1

2

3

①株立ちして生えてる様子.②花序は多数出る.茎は三角.③茎の根元を 状に包ん

でいるものが葉 . 地下茎はない.

①サンカクイは地下茎があるので 1 本ずつバラバラと生え,カンガレイは地下茎が

ないので株立ちになる.②サンカクイの地下茎.③サンカクイとカンガレイの花序の

比較.サンカクイの花序には柄があり,苞が短い.

3cm

カンガレイ

サンカクイ

抽水

   植物

background image

1cm

外来種

抽水

   植物

在来種

 湖沼やため池、河川に生育する多年草。茎の断面は円形で確かに近縁

種に比べて「フトイ」が、草丈は大きいもので 2m を超え、「オオキイ」

でもよい気がする。地下茎は節間が短いため、茎は密生し、群生する。

カヤツリグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 9 月

44

フ ト イ

 湖沼、ため池、河川に生育する多年草。茎は地表や水中を横にはい、マッ

ト状に群落を広げる。花序は V 字に 2 つに分かれる。「紀州」と日本の地

名が名前についているが、外来種である。

イネ科

国内分布:関東∼沖縄
開花時期:7 ∼ 10 月

キ シ ュ ウ ス ズ メ ノ ヒ エ

Paspalum distichum L.

Schoenoplectus tabernaemontani (C.C.Gmel.) Palla

1

2

3

1

2

3

①群生する様子.②花序.③雌しべの柱頭は 2 ∼ 3 つに分かれる.この写真のように

柱頭が 3 つに分かれるものをオオフトイとして区別することがある .

①水際に生える様子.水辺の土手に生えることもある.②花序.V サインのごとく

2 本出る.③変種のチクゴスズメノヒエは,葉 に密に毛が生えて,花序が V サイ

ンではなく 3 ∼ 4 本に枝分かれする.「筑後」とつくがこれも外来種.

抽水

   植物

background image

 湖沼、ため池、河川、湿原、塩湿地と世界中のありとあらゆる水域に

生育する多年草。別名アシ。キング・オブ・水草ともいえる植物。地下

茎は横に長くはい、広大に群生することも。葉の幅は 3 ∼ 5 cm 程度、長

さは 40 cm を超えるものもあり、途中で折れ曲がり垂れることが多い。

①草丈は大きい物では 4m を超える.②河川で群生する様子.

1

2

1

2

抽水

   植物

在来種

在来種

イネ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

45

ヨ シ  

 湖沼、ため池、河川に生育する多年草。河川の上流から中流域ではよ

く出会う。「ツル」と言っても、他の植物に絡みつく訳ではなく、茎が倒

れて地表を い、節から花茎が立ち上がる。葉の幅は 3 cm 程度で、ヨシ

よりも細く短い。

イネ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

ツ ル ヨ シ

Phragmites japonicus Steud.

Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.

①群生する様子.②水面を って伸びる茎.

抽水

   植物

background image

5mm

浮遊

   植物

5cm

在来種

在来種

 湖沼、ため池、河川、水路に生育する多年草。ヨシよりも深い水深ま

で生育し、泥深い環境に群生する。そのため、マコモが生えているとこ

ろを歩くと泥にはまって動けなくなることも。

イネ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:7 ∼ 10 月

46

マ コ モ

 湖沼、ため池、河川のよ

どみに生育する多年草。根

は無く水面下を漂うが、茎

の一部が水底に定着してい

ることもある。細く二又に

1 ∼ 2 回枝分かれした葉が

5 ∼ 10 枚輪生する。

マツモ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:5 ∼ 8 月

マ ツ モ

Ceratophyllum demersum L.

Zizania latifolia (Griseb.) Turcz. ex Stapf

1

2

3

4

5

1

2

3

4

①全体の様子.②雌しべを出した花序.③茎を包む葉 は厚くて柔らかい.④黒穂菌

が感染して肥大化した根元の茎はマコモダケとして食用になる.⑤マコモダケ料理.

①水面に浮かぶマツモ.②葉.二

又に枝分かれし,葉の縁にはギ

ザギザがある.③雄花の集まり.

④果実.大きさは4mmぐらいで,

長い刺が 3 本あり、葉の付け根

につく.果実が付くものはまれ.

刺が 5 本のものをゴハリマツモ

と呼ぶ.

抽水

   植物

background image

抽水

   植物

在来種

在来種

 湧き水が出ている小川や水路に群生する多年草。湧き水・清流と言え

ばこの水草。白い花は、名前の由来でもある梅の花に見えないこともな

いが、雌しべが多数あるので全然違う。茎や葉は食感がよく、さっと茹

でて酢のものなどにして食べる。

キンポウゲ科

国内分布:北海道・本州
開花時期:5 ∼ 9 月

沈水

   植物

47

バ イ カ モ

 湖沼、ため池に生育する多年草。泥の中を伸びる地下茎の先端の数節

は冬になると越冬のために肥大化し、食用(レンコン)になる。葉柄は

葉の真ん中あたりに付く。花は 3 ∼ 4 日開閉を繰り返す。果実は条件が

良ければ数百年以上生きることがわかっている。

ハス科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:6 ∼ 9 月

ハ ス

Nelumbo nucifera Gaertn.

Ranunculus nipponicus Nakai var.

 submersus H.Hara

1

2

3

1

2

3

①花.②葉は糸状に細かく分かれ,水中に群生する.③バイカモが繁茂する水路.

①群生するハス.②花.③ハチの巣の様に見える花托(かたく).穴の中に果実がある.

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2cm

沈水

   植物

外来種

抽水

   植物

在来種

 湖沼やため池、河川、水路に群生する多年草。しばしば水面を覆いつ

くし、在来水草を駆逐する。切れた茎などから再生を繰り返して、分布

を拡大する。葉は鳥の羽の様に切れ込み、白っぽい黄緑色。

アリノトウグサ科

国内分布:北海道?∼沖縄
開花時期:5 ∼ 6 月

48

オ オ フ サ モ

 湖沼、ため池、河川、水路に生育する常緑の多年草。富栄養な環境や、

汽水域でも生育可能で、関西では最もよく出会うフサモの仲間。沈水葉

は長さ 2 ∼ 3cm で 4 ∼ 5 枚輪生する。

アリノトウグサ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:5 ∼ 10 月

ホ ザ キ ノ フ サ モ

Myriophyllum spicatum L.

Myriophyllum aquaticum (Vell.) Verdc.

1

2

1

2

3

4

①葉の根元に白い小さな花をつけた茎.雌雄異株だが日本には雌株しか入っていな

い.輪生する葉の枚数は在来のフサモの仲間より多く 6 枚.②一面に繁茂する様子.

①水中に生える様子.水面から出ているのが花.空気中に出る茎には葉がない.②花.

白っぽいのが雌花.③花.黄色っぽいのが雄花.④4枚が輪生した葉は羽状に切れ込み,

羽片(1 本 1 本の細い部分)の数は 14-20 対でフサモにくらべて密につく.

特定外来生物

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2mm

ミズハコベ

ミゾハコベ

1cm

 湖沼、ため池、河川に生育する多年草。沈水葉は長さ 3 ∼ 6cm。冬に

なると茎の先端に長さ 1.5 ∼ 3cm 程度の越冬芽を付ける。越冬芽につい

た葉は沈水葉とほとんど形は変わらない。近縁種オグラノフサモとの雑

種をハリマノフサモという。

2cm

在来種

在来種

アリノトウグサ科

国内分布:北海道・本州・四国
開花時期:6 ∼ 9 月

49

フサモ

 河川、水路、ため池や水田に生育する一年草。岸辺では地面を張り付

いて広がる。葉は対生で長さ 5mm から 1cm 程度。水位が高い場合は沈

水状態で立ち上がり、葉も細長くなる。

ミゾハコベ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:6 ∼ 10 月

ミ ゾ ハ コ ベ

Elatine triandra Schkuhr var. pedicellata Krylov

Myriophyllum verticillatum L.

1

2

1

2

3

①花は水面に出て,下段に雌花,上段に雄花をつける.花茎の節に明るい緑色の葉

をつける.②葉.ホザキノフサモよりも羽片が少ない.③似た種類との越冬芽の比較.

①張り付いて広がっている様子.②名前も形も似たミズハコベとの比較.葉の付け根

につく果実が,ミズハコベは軍配形でミゾハコベは球形.

←オグラノフサモ

←ハリマノフサモ

←フサモ

抽水

   植物

沈水

   植物

浮葉

   沈水

抽水

   植物

沈水

   植物

background image

トウビシ

ヒシ

ヒメビシ

オニビシ

1cm

浮葉

   植物

48

 湖沼やため池、河川のよどみに生育する一年草。水中を伸びる
茎はよく分枝し、地中の根とは別に葉緑素をもった羽状の根(水
中根)が対生する。水面に丸みを帯びた三角∼ひし形の浮葉を広
げ、葉柄はスポンジ状に膨らむ。ヒシとオニビシは富栄養化に強
く、水環境が悪化しても最後まで生き残っている。

ミソハギ科

国内分布:北海道∼九州
開花時期:7 ∼ 9 月

50

ヒシ

在来種

①浮葉を展開するヒシ.②花.③ヒシの仲間は果実の形や大きさで区別す

る.ヒシは刺が 2 本で斜めに腕を伸ばしたように見える.明らかに棘が 4

本あるヒシをコオニビシとして分けることもある.オニビシは太い刺が 4

本.刺は腕を水平に伸ばしたような感じ.ヒメビシは小さく縦長で細い

刺が 4 本.刺はバンザイする.栽培種のトウビシはかなり大きい.④トウ

ビシは食用にされる.⑤著者の一人お手製のトウビシを使った料理.アメ

リカザリガニとハスの実を一緒に煮込んだ.

1

2

3

4

5

Trapa japonica Flerow

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 南米および北米南部原産の多年草。国内ではオオバナミズキンバイと

ウスゲオオバナミズキンバイの 2 亜種が知られており、見た目での区別

は難しく。染色体の数で区別する。水中では茎を横に伸ばして浮葉や抽

水葉を出すが、湿地では直立する。直立した茎には毛が多い。

沈水

   植物

外来種

抽水

   植物

在来種

アカバナ科

国内分布:本州・九州
開花時期:5 ∼ 10 月

特定外来生物

浮葉

   植物

51

オオバナミズキンバイ(広義)

 湖沼、ため池、河川、水路、湿原などに生育する多年草。長さ 2 ∼

3cm の葉が互生する。茎が分枝しながら地面に広がる。葉の付け根に小

さい花をつけるが、この花には花弁が無い。

アカバナ科

国内分布:本州∼九州
開花時期:6 ∼ 10 月

ミ ズ ユ キ ノ シ タ

Ludwigia ovalis

 Miq.

Ludwigia grandiflora

(Michx.) Greuter et Burdet

1

2

3

1

2

3

①花.花弁の先端がやや凹み,在来のミズキンバイに比べて花が大きい.②繁茂する

様子.琵琶湖などで異常繁茂し問題になっている.③果実.

①地面に広がっている様子.②花.③外来のアメリカミズユキノシタ.葉が対生し,

花弁がある.セイヨウミズユキノシタは葉が対生し,花弁が無い.

抽水

   植物

background image

抽水

   植物

 全国各地の河川、湧水地に侵入しているヨーロッパ原産の多年草。葉

や茎が食用になり、クレソンとも呼ばれる。先端の小葉が他の小葉より

も大きい。果実の中には種子が 2 列に並ぶ。1 列のものはコバノオランダ

ガラシという別種。この 2 種の雑種をムラサキオランダガラシという。

外来種

外来種

抽水

   植物

アブラナ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:3 ∼ 8 月

52

オ ラ ン ダ ガ ラ シ

 中米原産の多年草。水際に根をはり、水深が深くても、茎を伸ばして

岸から数メートルの範囲をマットを敷いたように覆う。浅い水辺ではす

ぐに一面に広がり、在来の生態系に大きな被害を与える。オオバナミズ

キンバイなどとともに定着してしまうと根絶するのがとても難しい水草。

ヒユ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:5 ∼ 10 月

ナ ガ エ ツ ル ノ ゲ イ ト ウ

Alternanthera philoxeroides

(Mart.) Griseb.

Nasturtium officinale R.Br.

1

2

1

2

①白い花弁が 4 枚ついた花をたくさん付ける.②水辺で群生する様子.

①花と葉.花序には柄がある.②水面を覆い尽くすナガエツルノゲイトウ.

特定外来生物

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 湖沼、ため池、河川、水路、水田に生育する一年草もしくは多年草。

葉は対生で黄緑色。よく似たミゾハコベと区別できるようになれば中級

者。果実で見分けられるが詳細は 49 ページ参照。近年、沈水葉が楕円形

のイケノミズハコベ(外来種)が分布を拡大している。

沈水

   植物

沈水

   植物

在来種

オオバコ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:通年

53

ミ ズ ハ コ ベ

 湖沼、ため池、水路、水田に生育する一年草。水深が浅い場合は、茎

を水面から立ち上げる。沈水葉は糸状に裂けて、フサモ類やハゴロモモ

などと似ているが、輪生葉の枚数を確認すれば間違えることはない。

オオバコ科

国内分布:本州∼沖縄
開花時期:8 ∼ 10 月

抽水

   植物

浮葉

   植物

キ ク モ

Limnophila sessiliflora (Vahl) Blume

Callitriche palustris L.

在来種

1

2

1

2

3

①群生する様子.②浮葉は楕円形だが,沈水葉は細長く先端が凹む.

①水面から出た茎には,5-9 枚の裂けた葉が輪生する.軟毛が生えた茎とピンク色

の花が特徴的.②糸状の沈水葉.③水面から茎を出す様子.

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1cm

1cm

3cm

外来種

抽水

   植物

 ヨーロッパからアジア北部原産の一年草から多年草。1990 年
前後から全国に分布を拡大し、関西の河川や水路ではすっかりお
なじみの植物になった。また、湧水環境には沈水植物として侵入
して問題になっている。さらに、在来のカワヂシャと交配して雑
種のホナガカワヂシャをつくる困った水草。

オオバコ科

国内分布:本州∼九州
開花時期:3 ∼ 6 月,9 ∼ 10 月

54

オオカワヂシャ

①オオカワヂシャ.②カワヂシャ.③花の比

較と④果実の比較.③④ともに上からオオカ

ワヂシャ,ホナガカワヂシャ,カワヂシャ.

⑤葉の比較.左からオオカワヂシャ,ホナ

ガカワヂシャ,カワヂシャ.カワヂシャは

花も果実も小さく,葉は鋸歯が目立つ越年

草.ホナガカワヂシャは中間的な形で,雑

種なので果実は実らない.⑥湧水地で沈水状

に生える様子.オオカワヂシャが明るい黄

緑色(右)で,カワヂシャは茶色(左).

1

2

3

4

5

6

Veronica anagallis-aquatica L.

特定外来生物

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5mm

1cm

5mm

在来種

浮遊

   植物

 湖沼やため池に生育する多年草で食虫植物。葉にはプランクト
ンなどを吸い込み、消化する捕虫嚢(ほちゅうのう)がつく。捕
虫嚢の中が黒いこともある。タヌキの尻尾にしては長いがふさふ
さしていて美しい水草。黄色い花には距(きょ)と呼ばれる太く
て短く突出した部分があり、その先端は尖らない。秋には小型化
した茶色の葉が集まって少し歪んだ楕円形の越冬芽を作る。

タヌキモ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:7 ∼ 9 月

55

イヌタヌキモ

①水面を漂うイヌタヌキモ.②イヌタヌキモの葉と

捕虫嚢.葉は細く枝分かれする.捕虫嚢が付いて

いないこともある.③イヌタヌキモの花.④イヌタ

ヌキモとタヌキモの越冬芽の比較.どちらも葉小

型化した葉に包まれている.タヌキモの越冬芽は

球形で大きい.⑤タヌキモの越冬芽を包んでいる

葉.中心の軸がはっきりしている.イヌタヌキモ

では中心の軸ははっきりしない.

1

2

3

4

5

Utricularia australis R.Br.

イヌタヌキモ

タヌキモ

準絶滅危惧

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 湖沼・ため池・湿原に生育する多年草。山岳地帯の湿原ではお馴染み

の植物。緑色の地下茎が分枝しながら広がり、水際に大きな群落をつくる。

葉は家紋の三つ柏に似ているが、植物のカシワにはあまり似ていない。

在来種

ミツガシワ科

国内分布:北海道・本州・九州
開花時期:4 ∼ 5 月

56

ミ ツ ガ シ ワ

 湖沼・ため池・水路に生

育する多年草。茎がよく枝

分かれして、丸い浮葉が水

面を覆う。株によって雄し

べと雌しべの長さが異なる

3 つのタイプの花がある。

栽培されている株が野外に

逃げ出していることがある

ので注意。海外では外来植

物として問題になっている

地域もある。

ミツガシワ科

国内分布:北海道(移入?)∼九州
開花時期:6 ∼ 9 月

ア サ ザ

Nymphoides peltata (S.G.Gmel.) Kuntze

Menyanthes trifoliata L.

在来種

1

1

2

2

3

3

4

①小さな葉 3 枚が柄の先につき,花には雌しべの短い短花柱花と雌しべの長い長花

柱花がある.②短花柱花.赤い雄しべが目立つ.③長花柱花.黄色い雌しべが目立つ.

①黄色い目立つ花を付ける.②長

花柱花.雌しべが長い.③短花柱

花.雌しべが短い.④等花柱花.

雌しべと雄しべの長さが等しい.

抽水

  植物

浮葉

   植物

準絶滅危惧

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浮葉

   植物

1cm

抽水

   植物

外来種

 湖沼、ため池に生育する多年草。葉は水中を伸びる茎の途中から出る。

花には長花柱花と短花柱花の 2 タイプがある。秋になると葉柄の途中か

ら太く短く特殊化した根が伸び、独特の形をした越冬芽になる。

ミツガシワ科

国内分布:本州・四国・九州
開花時期:7 ∼ 9 月

57

ガ ガ ブ タ

 南米原産の多年草。園芸目的で栽培されていた株が逃げ出し、2000 年

頃から各地で広がり始めた。ヒマワリに少し似た葉が対生し、白い花を

付ける。大きい株は高さ1m を超える。

キク科

国内分布:本州・四国・九州
開花時期:6 ∼ 11 月

ミ ズ ヒ マ ワ リ

Gymnocoronis spilanthoides DC.

Nymphoides indica (L.) Kuntze

在来種

1

2

3

1

2

3

①葉は丸っこい.②白い毛でもじゃもじゃの花.③越冬芽.越冬芽の形は何に見え

る?メデューサの頭?黒熊(こぐま)のついた兜?バナナの房?イソギンチャク?

①繁茂している様子.②アサギマダラが訪れた花.チョウをはじめ様々な昆虫が訪れ

る.③葉の断片からも発根し,強い再生力を持つ.そのため,根絶するのが難しい水草.

準絶滅危惧

特定外来生物

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3cm

抽水

   植物

 湖沼、ため池、河川、水路、水田など様々な湿地に生育する多年草。

葉は羽状に裂ける。春の七草のひとつで古くから栽培もされてきた。食

用に採集する場合は、よく似た有毒植物のドクゼリと区別できるように

なってから採集しよう。

セリ科

国内分布:北海道∼沖縄
開花時期:7 ∼ 9 月

58

セ リ

1

2

3

Oenanthe javanica (Blume) DC.

在来種

①葉.湧水地では沈水形の葉も出す.②小さな白い花をたくさん付ける.

③ドクゼリのタケノコ状の太い地下茎.セリの地下茎はこのようにならない.

アシカキ

ウキシバ

チゴザサ

 本書で紹介した 4 種のほかにも、水辺には様々なイネ科が生育しま
す。水草であるアシカキやウキシバ、チゴザサのような種がいる一方で、
水草ではないけど湿った場所を好み、水草と一緒に生えている種もい
ます。花があれば名前を調べることができますが、花がないと専門家
でも名前がわからないことがあります。花のない気になるイネ科を見
つけたら、時期を変えて再訪し、花を探してみましょう。

コラム:水辺のイネ科

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沈水

   植物

在来種

 日本では一番よく見かけられる車軸藻(しゃじくも)類の仲間。
田んぼ、湖沼、ため池に生育する。シャジクモを含め、車軸藻類
の体は巨大な細胞が連なる単純な構造であり、他の水草たちのよ
うに小さな細胞が詰まっていないので、全体的に透明感がある。
そのため雑に扱うとすぐに折れてしまう。

シャジクモ科

国内分布:北海道∼沖縄

59

シャジクモ

①田んぼに生える様子.②ため池の浅いと

ころに生えるシャジクモ.③全体像.輪生

する小枝(輪生枝とも言う)が枝分かれ

しないのがシャジクモ属 

Chara

の特徴.

④小枝のそれぞれに付く雌雄の生殖器.

⑤生卵器(上)と造精器(下).⑥冠状(い

くつか棘が生えているよう)に付く小枝

先端の細胞.

1

2

3

4

5

6

Chara braunii Gmelin

絶滅危惧

II

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沈水

   植物

沈水

   植物

 湖沼、ため池に生育する車軸藻類。皮層と呼ばれる細かい細胞が主軸

と輪生小枝の表面を覆っている。皮層で覆われる車軸藻類は独特のにお

いがするものが多い。においを覚えれば、採れるとすぐにわかる。

シャジクモ科

国内分布:北海道・本州・四国

60

カ タ シ ャ ジ ク モ

 湖沼、ため池に生育する車軸藻類。フラスコモ属

 Nitella

の中ではよく

見られる種類である。輪生枝が一度だけ枝分かれし、枝分かれした先の

細胞が1細胞だけなのが特徴。群生することが多い。ちなみに輪生する

小枝が枝分かれするのがフラスコモ属の特徴である。

シャジクモ科

国内分布:本州・四国

ヒ メ フ ラ ス コ モ

Nitella flexilis Agardh

Chara globularis Thuiller

在来種

在来種

1

2

3

1

2

①水槽の中で撮影した全体像.②輪生枝.オレンジの粒は生殖器.③藻体表面を覆う

皮層.皮層の無いシャジクモと比べるとその名の通り硬く,折れにくい.

①全体像.②輪生枝.枝分かれする部分に雌雄の生殖器をつける.

絶滅危惧

I

絶滅危惧

I

5cm

→カタシャジクモ

←シャジクモ

background image

 湖沼、ため池に生育する車軸藻類。汽水域に生えることもある。高さ

10 ∼ 30 cm 程度で、小枝は 2 ∼ 3 回枝分かれし、ヒメフラスコモに比べ

るとそれぞれの輪生枝が「丸まった」ような印象をもつ。輪生枝の基部

に付属小枝がつくことが最大の特徴。

シャジクモ科

国内分布:本州・種子島

61

オ ト メ フ ラ ス コ モ

1

2

3

Nitella hyalina Agardh

①湖の浅瀬に生える様子.②全体の様子.枝分かれしたところに雌雄の生殖器をつ

ける.③付属小枝.輪生枝に比べて短い.

ため池の底に広がるシャジクモの「森」

 車軸藻類は、パッと見はスギナやマツモに似ていますが、全く違う
生き物で、ミカヅキモやアオミド口に近縁な藻類です。花や種子を作
らず、車軸藻類に特有の造精器・生卵器という雌雄の生殖器(p59 に
写真)を付け、精子と卵細胞が受精してできる卵胞子によって子孫を
残します。湖沼の深いところで「車軸藻帯」という車軸藻類がびっし
り生える場所を作って生活する種もいれば、田んぼなどの浅いところ
で生活する種もいます。他の水草と違って切れ端が水に浮かびません。
そのため、車軸藻類は岸に流れ着かず、あまり目に触れることがあり
ませんが、田んぼでは他の水田雑
草に混じってシャジクモが見られ
ることがあります。車軸藻類は、
日本に約 80 種類いると言われて
います。ここでは比較的よく見ら
れる 4 種だけを紹介しましたが、
興味をもっていただけたら、巻末
に紹介する「しゃじくもフィール
ドガイド」もぜひ見てください。

コラム:車軸藻類も探してみよう!

沈水

   植物

在来種

絶滅危惧

I

付属小枝

輪生枝

background image

危 機 に あ る 水 草 を 守 る た め に

 日本の水草は減少傾向にあると言われています。日本に生育し
ている水草の約 4 割にあたる種が、国内の絶滅危惧種をまとめた
レッドリストに掲載されています。中には、すでに絶滅・野生絶
滅した種や絶滅一歩手前まできている種もいます。
 水草が減少している要因として、水辺が古くから開発の対象と
なりやすかったことが挙げられます。多くの水辺は埋め立てられ、
護岸工事で改変されてきました。また、水質の悪化によって水草
相が変わってしまった水辺もあります。加えて、人が持ちこんだ
外来水草によって生態系が変質してしまった場所もあります。こ
のように様々な要因が重なって、日本の水草は減少しています。
 危機的な状況にあると考えられている水草ですが、その実態把
握は十分ではありません。一定以上の面積をもつ日本の湖沼のう
ち、過去に何らかの調査が行われていたのは、たった 38.2 % と
いう研究結果があります。ため池は全国に 20 万以上あるとも言
われていますが、そのほとんどで調査が進んでいません。身近な
水辺であってもしっかりした調査はされていないのです。
 日本の水草を守っていくには、生育環境の保全が必要なことは
言うまでもありません。一方、地道な水辺の調査も大切です。日
本の水辺の実態を専門家だけですべて把握することは到底不可能
です。水草に興味をもった人が、身近な水辺を観察し、調査・記
録することが大切です。日本の水草を守るためにはみなさんの協
力が必要です。

62

水田の脇の水路に迫る危機.この素掘りの水路(左)には多くの水草

が生えていたが,あるときU字溝でかためられ(右),水草は消えた.

一見したところ自然が残っていそうな郊外の里地であっても,水田の

改修工事が進むことで,多くの水草が姿を消している.

background image

さ ら に 学 び た い 人 の た め に

1. さらに水草を知るためのオススメ文献

 このミニガイドでは物足りなくなってきた人は以下の 3 つ文献
がオススメです。
角野康郎 著 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版

 2014 年に出版された、日本国内の淡水・汽水域に生育する全
種類の水草(維管束植物)を収録した図鑑。カラーで印刷された
美麗な写真がたくさん載っていて、眺めるだけでもワクワクしま
す。水草の識別点や研究課題が記されていて、水草研究者の「バ
イブル」でもあります。
田中法生 著『 異端の植物「水草」を科学する』  ベレ出版

 2012 年に出版された水草の生活史・進化・保全に興味を持っ
た方にオススメの一冊。筆者が関わってきた研究や保全活動に触
れながら、初心者にも読みやすい文章で水草の「生き様」が解説
されています。水草愛に れた名著です。
笠井文絵・石本美和 著『 しゃじくもフィールドガイド』

  独立行政法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター

 国内でよく見られる車軸藻類をまとめたフィールドガイド。
web 上で公開されているので、車軸藻類の世界に興味を持った方
は以下の URL を絶対にチェック。

http://mcc.nies.go.jp/Chara2006/chara_fieldguide.htm

2. 水草研究会に入ろう

 水草研究会は、水草道を志した老若男女の愛好家が集う会です。
年 3 号の会誌発行の他、毎年 8 9 月に観察会と集会を開催して
います。観察会では、良好な
水草の生育地を専門家の案内
付きで観察できます。水草に
詳しい人から直接教わるのが
水草を理解する一番の近道。

「水草研究会」で web 検索す

ればホームページが見られる
ので、気になった人はすぐに
検索。

63

水草研究会の観察会の様子.

background image

バ イ カ モ・・・・

2, 25, 47

ハ ゴ ロ モ モ・・・

2, 16, 53

ハ ス・・・・・・・

47, 50

ハナショウブ・・・・・

20

バ ナ ナ・・・・・・・・

57

ハ リ イ・・・・・・・・

41

ハリマノフサモ・・・・

49

ヒ シ・・・・・・・・

2, 50

ヒ ツ ジ グ サ・・・・

16, 19

ヒマワリ・・・・・・・

57

ヒメガマ・・・・・・・

36

ヒメコウホネ・・・・・

18

ヒメビシ・・・・・・・

50

ヒメフラスコモ・・

60, 61

ヒメホタルイ・・・・・

42

ヒメミズワラビ・・・・

15

ヒ ル ム シ ロ・・・

2, 30, 32

ヒロハノエビモ・・・・

32

フサジュンサイ・・・・

16

フ サ モ・・・・・

2,

48, 49

フ ト イ・・・・・・・・

44

フトヒルムシロ・・

16, 32

ヘラオモダカ・・・・・

22

ホザキノフサモ・・・

2,

48

ホシクサ・・・・・・・

38

ホソバミズヒキモ・

31, 32

ホタルイ・・・・・・・

42

ボタンウキクサ・・・・

20

ホッスモ・・・・・・・

27

ホテイアオイ・・・・・

34

ホナガカワヂシャ・・・

54

マ コ モ・・・・・・・・

46

マツバイ・・・・・・・

41

マ ツ モ・・・・・

2, 46, 61

マルバオモダカ・・

22, 23

マルミスブタ・・・・・

24

ミカズキモ・・・・・・

61

ミクリ・・・・・・・

2, 35

ミジンコウキクサ・・・

21

ミズアオイ・・・・・・

34

ミズオオバコ・・・・

2, 28

ミズキンバイ・・・・・

51

ミ ズ ハ コ ベ・・・・

49, 53

ミズヒマワリ・・・・・

57

ミズユキノシタ・・・・

51

ミズワラビ・・・・・・

15

ミ ゾ ハ コ ベ・・・・

49, 53

ミツガシワ・・・・・・

56

ムラサキオランダガラシ

52

ヤナギスブタ・・・・・

24

ヤ ナ ギ モ・・・・・

31, 32

ヤマトミクリ・・・・・

35

ヨ シ・・・・・・

2, 45, 46

レ タ ス・・・・・・・・

20

カワヂシャ・・・・・・

54

カンガレイ・・・・・・

43

キクモ・・・・・・・

2, 53

キシュウスズメノヒエ・

44

キショウブ・・・・・・

33

クレソン・・・・・・・

52

クローバー・・・・・・

14

クロホシクサ・・・・・

38

ク ロ モ・・・・・・・・

25

ク ワ イ・・・・・・・・

23

コウガイゼキショウ・・

38

コウガイモ・・・・・・

29

コウキクサ・・・・・・

21

コウホネ・・・・・・

2, 18

コオニビシ・・・・・・

50

コカナダモ・・・・・・

25

コ ガ マ・・・・・・・・

36

コゴメイ・・・・・・・

37

コ ナ ギ・・・・・・

23, 34

コバノオランダガラシ・

52

コバノヒルムシロ・・・

32

ゴハリマツモ・・・・・

46

コ ヒ ゲ・・・・・・・・

37

サイコクヒメコウホネ・

18

サ サ バ モ・・・・・

30, 32

サジオモダカ・・・・・

22

サンカクイ・・・・・・

43

サンショウ・・・・・・

14

サンショウモ・・・・・

14

シャジクモ・・・

59, 60, 61

ジュンサイ・・・・・・

16

ショウブ・・・・・・・

20

ス ギ ナ・・・・・・・・

61

ス ブ タ・・・・・・・・

24

セイヨウミズユキノシタ 

51

セキショウ・・・・・・

38

セキショウモ・・

2, 29, 35

セ リ・・・・・・・・・

58

セ ン ニ ン モ・・・・

31, 32

タイワンヤマイ・・・・

42

タヌキモ・・・・・・・

55

チクゴスズメノヒエ・・

44

チゴザサ・・・・・・・

58

ツツイトモ・・・・・・

32

ツルヨシ・・・・・・・

45

デンジソウ・・・・・・

14

トウビシ・・・・・・・

50

ドクゼリ・・・・・・・

58

トチカガミ・・・・・

2, 26

ナガエツルノゲイトウ

  ・・・・・・・

39,  52

ナガエミクリ・・・・・

35

ナンゴクアオウキクサ

21

ニシノオオアカウキクサ

15

ネジレモ・・・・・・・

29

主 要 参 考 文 献

植 物 名 等 さ く い ん

角野康郎(2014)ネイチャーガイド 日本の水草.文一総合出版,東京.

角野康郎(1994)日本水草図鑑.文一総合出版,東京.

大滝末男・石戸 忠(1980)日本水生植物図鑑.北隆館,東京.
 執筆にあたり、多くの文献を参考にしていますが、スペースの都合上、主

要なものだけ紹介しました。

アイオオアカウキクサ・

15

ア オ ウ キ ク サ・・・ 

21, 23

アオミドロ・・・・・・

61

アカウキクサ・・・・・

15

アギナシ・・・・・・・

23

ア サ ザ・・・・・・・・

56

ア シ・・・・・・・・・

45

アシカキ・・・・・・・

58

アゼスゲ・・・・・・・

40

アメリカオオアカウキクサ

  ・・・・・・・・・

15

アメリカミズユキノシタ

51

イ・・・・・・・・・・

37

イ グ サ・・・・・・・・

37

イケノミズハコベ・・・

53

イトトリゲモ・・・・・

26

イ ト モ・・・・・・・・

32

イヌタヌキモ・・・・

2, 55

イヌホタルイ・・・・・

42

イバラモ・・・・・・・

27

イボクサ・・・・・・・

33

ウォーターレタス・・・

20

ウ キ ク サ・・・・

2, 21, 23

ウキシバ・・・・・・・

58

ウキヤガラ・・・・・

7, 39

ウスゲオオバナミズキンバイ

  ・・・・・・・・・

51

ウ リ カ ワ・・・・・

22, 23

エ ビ モ・・・・・・

31, 32

園芸スイレン・・・・・

19

オオアカウキクサ・・・

15

オオカナダモ・・・・・

25

オオカワヂシャ・・・・

54

オオサンショウモ・・・

14

オオトリゲモ・・・・・

27

オオバコ・・・・・・・

28

オオバナミズキンバイ

  ・・・・・

39,  51, 52

オオフサモ・・・・・・

48

オオフトイ・・・・・・

44

オグラコウホネ・・・・

18

オグラノフサモ・・・・

49

オトメフラスコモ・・・

61

オニバス・・・・・・・

17

オニビシ・・・・・・・

50

オヒルムシロ・・・・・

32

オ モ ダ カ・・・・

2,

22, 23

オランダガラシ・・・・

52

ガガブタ・・・・・・・

57

カキツバタ・・・・・・

33

カサスゲ・・・・・・・

40

カ シ ワ・・・・・・・・

56

カタシャジクモ・・・・

60

カボンバ・・・・・・・

16

ガ マ・・・・・・・・

2, 36

64

background image

お わ り に

 このミニガイドは水草に関わる若者たちが力合わせて
作ったものです。それぞれの水草との付き合いの歴史は違っ

ていて、得意分野も様々です。唯一の共通点は、多くの先

人たちが築いてきた水草研究の土台の上に立って、様々な

水草を実際に観察し、学んできたことです。誰もが最初は

初心者で、水草や図鑑とにらめっこしながら自分なりの発

見をし、学んできました。このミニガイドが新たな土台と

なって、一人でも多くの人が水草からいろんなことを学ん

でもらえると、たいへん嬉しく思います。

謝辞 以下の方々に写真を提供していただきました(五十音順)。

小林温さんと小林智さん(オニバス)、白崎仁さん(菅笠)、坪田和

真さん(ハゴロモモ・アギナシ)、西尾フミ子さん(ミジンコウキ

クサ)、藤原陽一郎さん(車軸藻類)、緑川昭太郎さん(オオトリゲモ)。

首藤昌子さんには編集作業を手伝っていただきました。野間直彦さ

んにはコラムの原稿についてコメントをいただきました。

水草ハンドブック

A Handbook of Aquatic Plants of Japan

著者

志賀

隆(

Takashi SHIGA, 

新潟大学)

首藤光太郎(

Kohtaroh SHUTOH, 

新潟大学)

横川昌史

Masashi YOKOGAWA, 

大阪市立自然史博物館)

加藤

将(

Syou KATO, 

日本国際湿地保全連合)

田真也(

Shinya HIEDA,

 滋賀県立大学)

倉園知広(

Tomohiro KURAZONO, 

大阪市立自然史博物館 外来研究員)

山ノ内崇志(

Takashi YAMANOUCHI, 

福島大学)

編集:横川昌史

表紙イラスト:つじいようすけ

ページデザイン:米澤里美(大阪自然史センター)

2018

7

31

日 初版発行 発行:新潟大学教育学部

  このハンドブックは,(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費

(4-1705)「湿地の多面的価値評価軸の開発と広域評価に向けた情報基盤

形成」により作成されました。また、このハンドブックのライセンスは,

クリエイティブ・コモンズの

CC BY 4.0 

国際とし、

http://wetlands.info/

tools/guidebook/hydrophyte_handbook

で公開しています。出典を明示

する限り、自由な利用・加工・再配布ができます。
 文献として引用する際は以下のようにしてください。
 志賀隆・首藤光太郎・横川昌史・加藤将・ 田真也・倉園知広・山ノ

内崇志(

2018

)水草ハンドブック.pp64.新潟大学教育学部,新潟.

http://wetlands.info/tools/guidebook/hydrophyte_handbook


background image

水草ハンドブック

志賀隆・首藤光太郎・横川昌史・加藤将・稗田真也・倉園知広・山ノ内崇志(2018)水草ハンドブック.pp 64.新潟大学教育学部,新潟.

http://wetlands.info/tools/guidebook/hydrophyte_handbook

変換元PDF

自由に使っていいという素晴らしい試みだったのでpdfではなくhtmlページとして見れるようにしてみました。

今後も見やすくなるように可能な事があればやってみます。本来なら、html用として画像と文章を再編集するのが理想ですが、元画像サイズも小さいので無理でした。

水生植物同定用ガイドブック「水草ハンドブック」 | Wetlands Information

印刷したい場合

4ページまとめて印刷するとハンドブックサイズになる。コンビニで印刷して切って折り曲げて冊子にしたらいいのかも。両面印刷には対応できない。

印刷したい人は1ページあたり4ページを割付けたpdfも作成しました。カラー印刷が安くできる人は印刷して小冊子にしたらいいでしょう。18ページの印刷で済みます。

https://kazetoge.com/mizukusa-book/4-1-2merged2.pdf

水草ハンドブックで紹介されているURL

モニタリングサイト1000
車軸藻の見分け方 | NIES コレクション
水草研究会 |

ハンドブックで参考文献として紹介されている本

日本水草図鑑
文一総合出版
¥16,985(2024/04/26 15:15時点)