タネハゼとイドミミズハゼの生息地探索|河口干潟で採集記録

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お魚ガチが書きました
歩き方

自然大好き一家で自然保護協会家族会員。自然観察指導員 。熱帯魚はベタ、日本淡水魚はタナゴその他を20本以上の水槽で飼育中。
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宮崎県の河口干潟へGO

琉球蟹探訪より

夏休み終盤、「ガサガサ行きたいよにゃぁ」とのことで行ってきました。

先日買った琉球蟹探訪の話にも出ていたミミズハゼを、ぜひとも捕りたいという事で場所を選定しました。とりあえず九州で比較的見つけやすいと思われるイドミミズハゼというオレンジ色のハゼを第一目標としました。

イドミミズハゼ スズキ目ハゼ科 6-8㎝

ミミズハゼに似て頭が小さい。黄褐色から赤褐色の珍しい色。海岸や河口域の伏流水中や地下水中に生息する。新潟県、静岡以南の本州、四国、九州に不連続して報告されている。

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やってきました。宮崎県。

まず、泥干潟へ来ました。この周辺は泥ですが少し上がると砂礫っぽい所もあり過去にイドミミズハゼもとれたことがあるようです。

トビハゼやカニが沢山いました。トビハゼはまじで天使です。有明海民なので見つけたらなんか安心します。

ノコギリガザミの死体発見。有明海では土井崩しと呼ばれている干潟に横穴を掘って住むカニです。見た通り強力なハサミを持っています。同じくらいの大きさのワタリガニも網に入りました(リリース)。

ヨウジウオやハゼ各種を捕獲。しかしながら炎天下で動きの悪い泥干潟は過酷でした。油断したら出れなくなるタイプの泥です。

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別の河口干潟

2時間ほど泥干潟で頑張ったあとに、別の干潟に来ました。イドミミズハゼの本命スポットです。ここは典型的な河口干潟ですので、持参したパックラフトで川をさかのぼって干潟を目指しました。浜辺から出艇したのですが、結構波の影響を受けて面白かったです。さすが太平洋のなみって感じ。

河口部分から川に入って最初に見つけたのはゴンズイ玉。数百匹の群れがうにょうにょと動いてすぐ近くで観察できました。周辺には小さなハゼが大量。水面に3つのヒレを出しながら泳ぐボラやキビレ?っぽい魚も確認しました。

水の中を歩くと時々とても冷たい水が出ており、湧水が入り込んでいるようでした。自然観察や水遊びには最高のスポット。

500mほどさかのぼる干潟や葦などの入り組んだ地形をつくっている塩性湿地帯となりました。ヘナタリの一種も発見。面白いのが、水が冷たくて綺麗というところです。普通に水遊びしながらガサガサができます。

この時間はド干潮で満潮となるとかなりの部分が水没します。

深みでは多くの魚が泳いでいました。ハゼ類の稚魚も多くゴマハゼもいました。ハゼ類は適当に網を引きずるながら歩くだけで入ります。

なんと小さな祠も発見。昔の地元の人はこの場所の貴重さが分かっていたのでしょうね。
泥と砂礫地帯があり、とても良い場所でした。福岡にはこういう所は全然ないです。羨ましい。

イドミミズハゼ捕まえるには穴を掘れ

セリアで購入した小さなスコップであちこちほること30分。ついに発見しました。オレンジ色のニョロニョロはイドミミズハゼです。流れの1mほど横で石をどかしてその下を掘るとなにやら明るい色の生物がって感じで見つけました。

※コップはもう少し大きいのが良いでしょう。ヤビーポンプもあれば泥の方で活躍しそうでした。

すると同じ穴に黒いニョロニョロが。

ななんとタネハゼです。タネハゼと邂逅出来ました。ヒレが大きめで美しいのですが、手に乗せるとヒレがしぼんで残念な感じ。タネハゼは黒潮がある地域だけで見つけられるハゼです。日本の淡水魚を読んでいて気になる魚だったので嬉しいです。

タネハゼの「タネ」のぶぶんですが、学名がCallogobius tanegasimaeなので種子島由来と推測できます。明治41年に記載された由緒ある魚のようです。

Callogobius tanegasimae summary page


https://www.city.nishinoomote.lg.jp/material/files/group/91/hensan12.pdf

イドミミズハゼとタネハゼ。対比が美しい。

まとめ

イシマキガイもいた
ウナギも捕れたよ。60cm少々のウナギも捕獲しました。かわいすぎるのでリリース。

今回の河口干潟での採集では、第一目標だった イドミミズハゼ に無事出会うことができました。なんといっても明るい色が特徴的ですね。ニョロニョロ好きにはたまらない完璧なフォルム。泥の中からオレンジ色の細長い体が現れたときの高揚感は、まさに「探し求めていた宝物を掘り当てた瞬間」でした。そして同じ穴から現れたもう一つの黒っぽい影――それが タネハゼ でした。予想外の発見に驚きつつも、繊細で美しいヒレを持つ姿を間近で観察できたのはラッキーでした。

さらに今回の採集では、ハゼの仲間だけでなく、干潟を歩けばカニやゴンズイ、イシマキガイ、ニョロニョロの代表格のウナギまで姿を現すなど、河口干潟の生態系の豊かさを改めて体感しました。海と川、淡水と汽水が混ざり合う場所だからこそ見られる多様な生き物たち。その一瞬一瞬の出会いが、単なる「魚獲り」ではなく、大自然の縮図を体験する行為になっていたように思います。

今回の体験を通して、干潟や河口が持つ生態学的な価値を肌で感じるとともに、そこで生きる魚たちの背景や学名の由来にまで思いを馳せることができました。採集の楽しさと、自然を学ぶ喜びが一体になった、まさに夏休みを締めくくるにふさわしい一日でした。

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