水合わせには大きく分けて2パターン
水合わせには大きくわけて二種類あります。
一刻も早く、生体への悪影響を改善し無事に水槽に投入できるか?という場合と、単に水槽を移動するという場合です。
前者は通販での購入や、ショップでの購入、遠方からの生体の持ち帰りなどで発生します。後者は主に近所での採取や購入、自宅で発生します。
当然ながら前者が水合わせが大事なパターンです。後者は生体も時間も余裕があり、水合わせはさほど難しくないでしょう。
書籍や他のサイトでは水合わせについては、画一的に様々な方法が紹介されています。ですけど、どのように水合わせするかは、場合により違います。
なるべくトラベルを避けるために慎重に水合わせすることこそが、水合わせの意義のように思われていますが違うのです。時には、一刻も早く棺桶のような袋から取り出してあげて、綺麗な環境に入れてあげる必要がある時もあるのです。
ズバリ、通販などで送られてきて既に死んだ個体もいるような袋から水槽に投入するときは悠長に点滴法でちまちま水合わせするのではなく、すぐさま死体の腐敗物やアンモニア、糞などの劣悪環境から救ってあげる必要があるのです。
ひっ迫した水合わせなのか?余裕のある水合わせなのか?をまず判断してください。特に問題となるのは水温が高い夏場です。
また忘れられがちですが、生体導入前に飼育水槽の水換えはすませておくのは大事なポイントです。導入したあとに水換えして環境変えるのもなんですし。
どちらの水合わせが必要かの判断
まずは、生体の状況を確認しましょう。特に通販では届いてすぐビニール袋を開ける前に、死亡個体がいないか確認してください。この作業は死亡保障などに関わってきます。なぜ、袋を開ける前かというと、死亡保障の条件として開封してからの死亡は保証が効かない場合が多いからです。
死亡した生体がいる場合は、すでにその持ち運び袋の水質が終わっています。次にスレ傷のある個体がいるかどうかの確認も大切です。体表やヒレに明らかに異常のある個体がいた場合、その個体だけ隔離して薬浴が必要です。複数に症状があるなら丸ごと薬浴します。
これらの場合、飼い主がやることは、終わった水質の袋から正常な環境に早く戻してやることです。微妙な水質は気にする必要はありません。水温だけ合わせてそれ象れの適した環境に入れてあげましょう
死亡や異常個体がいなくても、沈殿物を確認します。あまりに多いようでいたら、この場合も水質が終わっていると判断しましょう。
水合わせに必要な時間は水温差により違う
なずべくデジタル温度計で合わせましょう。我が家ではオンドリ君で測っています。水温がリアルタイムでわかるので便利。電池も数年もちます。通常は気温計として使える。
生体に問題がない場合の水合わせ目安時間
- 水温差1度以内–ぶっちゃけ水槽にいきなり入れても良いけど、最低でも10分
- 水温差2度以内—念のため30分
- 水温差3度—1時間
- 3-4度—2時間
- 5度以上—半日ー1日
ひっ迫した環境からの水合わせ
死んだ個体がいるような袋からの水合わせは、アンモニアや腐敗物質から一刻も早く正常な環境に戻すことを考えます。微妙な水質やphなどは特に考えず、水温を合わせることだけを考えます。もちろん、古い水はそのほとんどの飼育水槽に移さないような配慮も必要です。以下手順となります。
※魚の持ち帰り袋は呼吸できる袋だと生存率が格段にアップ。これと保冷バックなどを組み合わせましょう。
生体に余裕のない終わった水から飼育水槽になるべく早く移す方法
なるべく早く正常な水を足して、アンモニアなどの濃度を下げることを優先します。悠長に点滴などを行うより、有害物質の濃度を下げるイメージです。次に、袋の水を飼育水槽に入れないことも大事です。水温差が5度以上ある場合は半日から1日かけます。
- バケツを準備し、そのなかに袋の水ごと移す(ゴミや糞は移さない)。仮に袋の水は5リットルとする。
- バケツの水を1リットル捨てて、カルキを抜いた新水を入れる。
- 10分ごとに5回上記を繰り返す。投入する飼育水槽を1/2の水換えをしておく。
- 抜いて水槽の水を入れて最後の水合わせとする。水温計で測るもしくは指を入れて温度をチェックして生体だけ水槽に投入する。
薬浴やトリートメントを挟む場合は、まったく新しい水にエアレーションやフィルターをセットしてその環境に上記の方法で水合わせして投入する。古い水は病気の素で飼育水槽に悪影響が出る可能性があるので入れないように配慮する。
薬浴・トリートメントはどうする?
明らかに症状がある場合は、躊躇せず最善で最短の方法を選択します。つまり、薬浴の倍数を減らすとか弱い薬を使うなどではなく、最初から症状に合わせて強い薬をさっさと使う方が好結果になります。
魚の病気は基本的には隔離しないと自然治癒しません。
塩は体力回復のために基本的に0.3-0.5%で入れます。ヒターが必要な魚なら当然使う。水温差が少なく落ちつく場所で治療する。
薬の使い方や水換えはそれぞれの薬に合わせる。お勧めなのはエルバージュエースを規定量投入して二日ごとに水量の半分ずつを交換する方法です。寄生虫以外はほぼ効きます。
- スレ傷、粘膜剥がれーーーアクアノール(傷の消毒薬のような成分)。アグテンパウダー、サンエース、フレッシュリーフ。もしくはエルバージュなどの抗菌剤。
- 穴あき・赤斑病—-抗菌剤を使う。エルバージュエース、観パラD、ニューグリーンF顆粒。
- 白点病・コショウ病—-マカライトグリーン系。アグテン・ヒコサンZ。
- 尾ぐされ、ヒレぐされーーー尾ぐされ症状か尾ぐされ病か判断が難しいので抗菌剤で治療する。
- 寄生虫ーーーートロピカルN
- 水カビーーーマカライトグリーン成分。アグテン、ヒコサンZ。アグテンパウダーは他の成分もアリ傷二次感染にも効く。グリーンFリキッドはメチレンブルー+α。
生体に余裕のある水合わせ
そもそも論ですが、生体を入れる飼育水槽が過密でないか?はチェックしてください。新しく投入して投入した子が死ぬのは、水合わせというより水槽の環境が問題の場合があります。投入した子が元気で、元々いて何年も飼育していた魚が新しい魚の影響で死んでしまうこともあります。過密はトラブルの素です。冷静に環境をチェックしてください。
さて生体に余裕があるなら、水温さえ合えば問題ありません。この場合も、古い水を飼育水槽に入れないのは大事です。病原菌や余計な生物を持ち込まないためです。
お勧めの方法は、飼育水槽の下にバケツを置き、10分ごとにお玉などで飼育水槽の水を追加していきます。水温が同じ程度になったら生体だけ投入します。
点滴法は?どうなん?と思う人もいるでしょう。より魚にやさしいのではないか?と。エアチューブでポタピタと水を追加する方法です。これはこれで良いのでしょうが、めんどくさいです。2・3回やるとエアチューブめんどくせーとなります。
※時間は水温差が5度以上ある場合は半日から1日かけます。その場合は追加する水のペースを考えてください。
問題ある水合わせ
よく、水槽に袋を浮かべて水温を合わる方法がありますが、これは危険な場合があります。
この方法自体問題はないのですが、水温差が5度以上ある場合、10分で5度も変わってしまうのです。
魚はエラで呼吸しますが、そこでは水と血管がほぼダイレクトに接触します。そのため、水温の変化ですぐに体温が変化してしまいます。魚が水温に適応するには血や筋肉、エラでの呼吸方法などを適応させる必要があり短時間では適応できません。
水温差が2-3℃なら問題ないのですが、差が5度以上だと大変問題です。なので、水槽に袋を浮かべる方法は時にはアウトなのです。
夏場の金魚すくいなどで魚がすぐ死ぬ原因の一つ。というのも、袋の水温が30度以上なのに、カルキ抜きした水道の水が20度くらいったりする。時には10度も違う。この場合は半日-1日くらいかける必要があるのです。
最後に
一刻もはやく劣悪な袋から出すべきなのに、点滴法などで悠長に水合わせする必要はないですよ。
少ない水量に大量に入った生体などの場合は、様子を見て適切な水合わせをしましょう。特に通販で餌用などで売られている生体は死着が当たり前だったりします。
水質や水温をチェックして、より安全に飼育水槽に入れてあげましょう!