アサザという水生の植物を新たな所で発見しました。水中の地面に根付き、ランナーを伸ばして増えていきます。浮葉植物に分類され、葉っぱだけが水面に出る水生植物です。花は咲いていたようですが、枯れたのしか見つかりませんでした。
福岡のレッドデータブックには以下のように書かれています。
水域の開発によって減少傾向にあり,県内5カ所の産地のうち2カ所では消失した。消失した産地では,自生の株の系統保存が行われており,復元の取り組みが今後の課題である。[1] 2010年現在,筑後川流域の自生地では,1つのジェネット(遺伝子型)の株のみ生育し,種子生産が見られない。
福岡県の希少野生生物
持ち帰り水槽で観察中
水槽で観察して思うのは、結構水位の変化に対応できるということ。植えた時は水面に達していなかった葉が三日で水面まで達しました。アサザは一気に茎をのばした訳です。
このことから思うのは、葉はやはり浮いていなければならない。伸ばそうと思えばある程度は茎は伸ばせるということ。しかし、水田のクリークにありがちな急激な水変化が起きると、かれてしまうそうです。つまり数センチの水位変化は何の問題もないが、1mも急に変化したら対応できなということ。
この水位変化に対応できないということがアサザが福岡で減った理由と思う。というのも水田地帯の農業用水路の水位は変化しやすいから。
アサザを発見した場所
アサザは福岡では珍しい植物です。なんせ福岡県では「絶滅危惧ⅠA類」にしていされています。ネットで調べると筑後市で高校生たちが保護活動をしているとの情報が見つかりました。その場所は矢部川水系ですが、今回見つけたのはその矢部川水系のさらに上流です。
その高校の活動を見るとランナー(地下茎)だけでなく種も付けているみたいです。種はギザギザとしたとげがついていて水鳥にくっつくそうなので、水鳥に運ばれたか、もともとそこに生育していたのか。さらに上流から流れていたのか?、園芸種が育ったか?のどれかでしょが、下流の生育地も複数あるみたいなので、もともとこの場所に残っていたのではないだろうかと思います。
この場所は水路の中でも特殊な場所で魚なども集まりやすい場所。フナやコイはもちろん、オイカワカワムツ、タナゴ5種、アリアケシマドジョウ、等々が生育するある種の奇跡的に残された所なんです。環境的にいろいろ集まりやすいところ。
だからアカザも以前から生育していたか、何かの理由で種が運ばれてきたんでしょう。この個体はランナーでつながった一個体だと思いますが、種子生産はしているのか気になる所です。
カメスケのかわいい生き物にもアサザは載っています
ところでアサザは霞ケ浦で面倒なことを起こしているみたい
茨城の霞ケ浦にはアサザプロジェクトという会があるそうです。アサザを復活させよう!というコンセプトの活動。希少な植物のアサザを増やすという考えはわかるのですが、しかしアサザを増やすために人為的に波を消す構造物を作り水辺にはアサザを植えて増やそうというのです。
霞ヶ浦ではあちこちにその沖合の堤防みたいなのが作られ、波が少なくなり、湖面の状況が変わり二枚貝が激減したらしい。もちろんタナゴも。アサザは一旦は増えた繁殖したらしいけど、その後一気に減少。
大量の税金を投入した木製の波けしは朽ちて、今はコンクリート製に建造し直し中、アカザを植えた場所は完全に陸地になり、セイタカアワダチソウなどの外来生物が占拠。お金をかけたけど結局のところさらに環境を悪くしただけで、霞ヶ浦にとどめを刺した形。そもそも汽水だった霞ヶ浦にはアサザは元々わずかにしか生育していなかっただろうというのに、そこにアサザを増やそうという浅はかな考え。希少な在来生物が増えれば水質が良くなるという妄想。
本当に環境改善を望むなら、昔のように海と繋ぎなるべく元の状態に戻し、あとは余計なことを人間がせずに放置すればよいだけじゃないだろうか。
冷静に霞ヶ浦のアサザ問題を分析した記事
井の頭池の話や、そもそもアサザとは?という内容はとても参考になる。