福岡県の湧水水草スポット黄金川へ(スイゼンジノリ、ヒメバイカモ、キクモ、ミズハコベ)

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いってきましたよ。高級食材、福岡の伝統食スイゼンジノリの故郷である黄金川。TVで見た時とってもきれいでいつかは行ってみたいと思ってました。想像の100倍良かった。規模は小さいけど気持ちいい川。福岡には湧き水スポットは少ないから貴重です。

防水カメラを持ってレッツゴー!県民は絶対に行くべきスポットですよ。

お魚ガチが書きました
すまら

自然大好き一家で自然保護協会家族会員。自然観察指導員 。熱帯魚はベタ、日本淡水魚はタナゴその他を20本以上の水槽で飼育中。
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黄金川とは?

福岡一の湧き水、水草スポット

黄金川は福岡県朝倉市にある小河川です。古くは屋永川という名前でしたが、江戸時代にスイゼンジノリを商品化した時に黄金川(こがねがわ)という縁起の良い名前に変わっています。

元々は複数個所の湧き水が川となっていました。現在は水位の低下に伴い、地下水をくみ上げて維持されている川です。夏は冷たく、冬は暖かい地下水を水源とするとても水が綺麗な川。水深は浅く、20-30㎝程でした。時期も関係しているのかもしれません。

この川を利用して高級食材「川茸」が栽培されています。川茸はスイゼンジノリという原始的な藍藻のことです。水が綺麗なところにしか生えず、福岡ではここだけ。源流部はウットリするような水草の川、川幅が広くなり追加で水も湧いている所からがスゼンジノリの栽培地になります。

スイゼンジノリ
スイゼンジノリ: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スイゼンジノリは九州の一部にしか生育しない藍藻の仲間。シアノバクテリアの一種で大昔の地球で酸素を作り出した最も原始的な生物というか細菌の塊。熊本の水前寺(江津湖)の地名が名前の由来となった。阿蘇周辺の渓流部、江津湖(水前寺公園)、福岡県小金川でしか見られない絶滅危惧種1類。※江津湖には保護エリアがあるがほぼ消失

野生は非常に珍しいのだが、阿蘇周辺の渓谷の源流部の激しい流れにへばりつくようについているのを発見するこができる。流れが速い所だと薄く成長し明るい緑で美味しそうに見えるから実際に食べたことがある。味は無。ゼリー状?の食感を楽しむ高級食材。

スイゼンジノリは成長が早く、流れが緩いと黒くボール状になって転がり始める。昔はカエル藻といわれたそうだ。それを下流で集めて収穫作業が行われる。川の途中に一列にセキショウ(セキショウモではない)が植えられているのは、ノリをひっかけるため。この川のスイゼンジノリを食べたいときはお店で買いましょう。もしどこかの料亭でこの海苔が出たときも、ぜひぜひ味わってくださいね。何かわからないで食べずに残す人もいるらしい!?勿体ない。乾燥させて戻すと綺麗な明るい緑色です。

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見学する際の注意点

川はスイゼンジノリの畑でもるけど川や敷地内に入らないように。水源地近くには駐車場もあるので奥の方へ。
駐車場には案内板がある。

黄金川の最上流部は井戸水のくみ上げポンプです。栽培地で近くではなく、水源の方にちゃんと駐車場があるのでそこに車を停めてください。黄金川は駐車場から水源までの100m少々の水草保護エリアと、駐車場から下流のスイゼンジノリ栽培エリア500mほどの長さに分かれます。さらに下るとスイゼンジノリの加工販売を行っているお店があります。

駐車場付近にはたくさんの水草が生育しています。栽培地の方は定期的に水草が排除されており、綺麗な川を見たいのなら、駐車場付近だけでも楽しめます。

水草は非常にデリケートなので網でガサガサしたりしないようにね。下流に水草を抜いて流すのも迷惑です。草刈りやヒメバイカモなどの保護エリアですので、マナー良く見学してください。できれば水中okなカメラを用意したい。

魚はオイカワがいます。

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黄金川の様子

水源、ポンプで地下水がくみ上げられている。昔は自然湧水だったという。今はつながっていないがさらに上流からも湧き出していたそうだ。
両側がブロックや板で覆われている。幅2mほど。飛び越せそうな幅。地下水が数か所ポンプアップされている。
駐車場から歩道で水源と繋がっている。両側にセキショウが植えられている。セキショウは別府の鉄輪温泉で蒸し風呂で使われていることで有名。
砂礫に水草。水深は基本的に浅い。
栽培地。夏場は日除けがはられるようだ。湧き水の量が減り水深が浅くなったので水温が上がって海苔の生育に問題が出るから。
昔はもっと広かったらしい。今は陸地化してしまったはノリタケが両側にある。

水草

水草が沢山の黄金川

黄金川は水温と水質が一定なので水草の楽園となっています。夏場は水路を埋め尽くすし、ノリ畑の方に流れてくると問題になるので定期的に水草が取り除かれていそうです。取り除かれているけれども、それが刺激となって常に新鮮で元気がある水草が育つことになり、黄金金川の美しい景色を作り出しているんでしょう。

ミズハコベ 水中葉

右側ミズハコベ。一部、水上葉化している。
日が差すと光合成が盛んになり気泡を出す
ミズハコベ

ミズハコベ
阿蘇の湧水池にも生育する水草。かなり華奢で根の張りも浅い、しかも茂って抵抗を受けやすいので、流される。流れが無く浅い所では陸上葉を出す。あまりに大きくなると水深がある所では自らの浮力で浮き上がってしまう。

※もしかしたら違う種類かも。水草ハンドブックのミズハコベとは違うんだよなぁ。イケノミズハコベという外来種も存在する。

キクモ 水中葉

キクモは水中葉と水上葉がだいぶ違う。この川は流れがあるので水中葉(沈水葉) のみ。

キクモは在来種の水草。水上用になると歯が避けてギザギザ。わずかに赤く紅葉する在来では珍しい水草。アクアリウムで流通するキクモは東南アジア産を品種改良した種になる。印象では在来の方が大きく頼りになる感じ。在来とも交雑するので要注意。

アクアリウムではトリミングした水草は必ずゴミ箱へ。間違っても排水溝へ流してはいけない。

セキショウ

セキショウモ(トチカガミ科セキショウモ属)のようだが、セキショウ(ショウブ科ショウブ属)である。一部水中葉化している。

これはセキショウ、葉の先がとがりっているのでセキショウモとは違うのがわかる。この川では、畑部分にセキショウが一列に植えられ流されたスイゼンジノリを集める役割がある。

カヅノゴケ ウキゴケ リシア 

日本名カヅノゴケは鹿角苔という意味。ウキゴケともいわれる。ボール状になってある程度大きくなると自らの浮力+気泡で浮いて流れていくる。アクアリウムにも使われるリシアとほぼ同種。Co2を添加すれば成長が早く明るい色で映えるが、CO2を添加しない水槽には適していない。野生個体は多くのゴミや生物が中に入り込んでおり、水槽に入れるのは湧き水の池で拾ったとしてもお勧めしない。水草水槽なら専門店で買うのが安心。メルカリなどで野生が売られているが、買わない方がいい。

九州では主に湧き水の池や川・水田・湿原に生育する。

オオカワカワヂシャ

オオカワカワヂシャ、外来種
オオカワカワヂシャ

カワヂシャは春になると水上葉を出して花を咲かせる。

葉が大きく茂るので川の流れを弱めるほどで、この川では定期的に排除されている。ヂシャという名前の通り食べらられるらしい。確かに美味しそうに見えるのだが、ネットで調べる限り美味しいという人と不味いという人がいる。

明るい黄緑色だから外来種のオオカワカワヂシャっぽい。

ヒメバイカモ 環境省絶滅危惧ⅠA類

本来は初夏から花を咲かせる。水上に茎を出しで花は水面から出る。今の時期は水中で花を咲かせるみたい。
葉は細い針上でキンギョモ(カボンバ)に似る。花は梅に似るのでバイカモ。

この川のシンボル。ヒメバイカモ。以前はほとんど生えていなかったが、保護活動の結果、川を覆いつくすほどまで増えている。条件さえ合えば繁殖力がすごいのだろう。確かに全国の有名なバイカモ生育地では大群落を作っている。葉は濃い緑で細い。

生育には綺麗な水と水流、低温が必要なので水槽やビオトープでは育てられない。

ウィローモス ヤナギゴケ

右側と下側に見える濃い緑のモジャモヤがウィローモス

ウィローモスはアクアリウムではお馴染みのレイアウト植物。日本名はヤナギゴケ。水源近くなどで見ることができますが、湿気の多い普通の川にも生えます。

水草レイアウトでもお馴染み。ガンガン増える丈夫な植物。山の沢などにも多いし、住宅地の薄暗い水路の壁にも生えている。

生物

コガタノゲンゴロウ

コガタノゲンゴロウです

コガタノゲンゴロウです。小型だけどデカい。

地下水で暖かいのでハビタットとなっています。手づかみで取れるほどいます。というか、この川でタモは振るえない。

ゲンゴロウの幼虫はドラゴンみたいで必見。春には見てみたい。

カワニナ

カワニナ

他にもサカマキガイなどがいた。魚はオイカワがいました。ホタルの時期はホタルも飛ぶそうです。

スイゼンジノリを扱うお店

スイゼンジノリの栽培、加工販売をしている遠藤金川堂

スイゼンジノリは絶滅危惧種ですが、地下水のくみ上げでようやく生き残っているといえます。ですから、スイゼンジノリ商品を買って食べると、この貴重な植物の保護にもつながります。今回は日曜なので閉まっていました。

営業時間 9時~17時 休業日 日・祝祭日

川茸元祖 遠藤金川堂
川茸 遠藤金川堂 スイゼンジノリ 

どうななる小金川?

冬は水量が特に少なくなるようだ。

小金川は湧水を源とする川ですがダムなどの影響により自然湧水がとまり、今ではポンプでくみ上げられています。年間のポンプの電気量180万円らしいです。地元やスイゼンジノリ業者さんの努力でこの環境が保たれています。

今回も水位が低く、一般的なイメージの川の規模がありません。水路という感じ。

詳しくは下記リンクを読んでみてください。スイゼンジノリの加工方法などにも詳しくなれますよ。

『黄金川のスイゼンジノリ(川茸)』
福岡県朝倉市の清流「黄金川」でのみ採れる、天然の淡水ノリ「スイゼンジノリ」。「川茸」とも呼ばれるこのノリは、江戸時代に幕府への献上品として、また高級食材として…
川茸

水草の本欲しい・・・。