藻川がついに工事される・・・
熊本県益城町にある藻川。わずかに残る蛇行区間は湧水由来の川そのままの姿で初めて見た時は感動しました。水が綺麗なのはもちろん、その名の通り水草が大量に茂っており、魚がビュンビュンと泳ぎ回っている健全すぎる水環境。もし魚に生まれ変わったらこんな川に住みたいなぁと思っちゃうくらいの川。
藻川が工事されるってのは5年ほど前から聞いていました。すでに少し下流から合流地点までコンクリ護岸で直線化されていたのですけど、わずかに残された区間もあといずれ見納めなんだなぁと覚悟はしてい。
それで今日、ツイッターの書き込みでついに工事が始まるようです(バズりかけた書き込みは消された。農家の苦労や水害対策、あの寄生虫のために工事は当然という人が必ず出現するから?)。稲作の関係で冬から春までの間に工事されるのでしょう。いつも水路工事は秋から梅雨前までが最盛期ですから。
藻川には2020年と23年に行ったことあるので画像を貼りますね。
藻川の説明
藻川はそうめん滝という岩肌から染み出る湧水を由来とする1800mのごく短い河川です。上流の750mだけが蛇行した自然の状態を保っていますが、それ以降の1050mはすでに工事されて直線化された川になっています。ちなみに、この工事は熊本地震により矢板が崩れたために行われていました。上流は蛇行があるので田んぼの作り替えも必要とのことで改修で対応されたのでしょう。
源流であるそうめん滝の部分は稲作の時期は水門により水が貯められて、地元の子どもが泳ぐスポットになっています。その水は農業水路と藻川に別れて流れ出しています。藻川は一旦田んぼに入った水が流れ出す排水路となっていています。
水はほぼすべてそうめん滝の湧水由来ですので、冬でも暖かいです。そのため、朝方は気温差による湯気が幻想的で地元の風物詩の一つとなっていました。益城町も観光スポットとして紹介しているほどです。川霧は江津湖や嘉島町の湧水地帯でも見ることが出来る神秘的な現象です。
貴重な水草、ヒラモ。ヒラモとは熊本市周辺の川のみに生育するセキショウモの一種です。幅広で大きく育つ水草ですが、オオカナダモと競合して負けているので数が減っています。藻川では過去に工事に伴ってヒラモの保護活動が行われいます。ヒラモは江津湖周辺にも多かったのですが、近年外来種に負けて数が減っています。
ヒラモ以外の水草も外来種が入り以前は色々見れたはずです。
ヒラモの保護活動が行われいましたが、このたび移植した上流域も工事されるってことです。
魚はオイカワやコイ、底物がいます。水が綺麗で水量豊富なためにとても気持ちの良い川です。流れは比較的速く、中心部がえぐれて砂底となっています。
流れ込む県木山川水系の淡水魚リスト
- うなぎ
- コイ
- ギンブナ
- アブラボテ
- イチモンジタナゴ
- ハス
- オイカワ
- カワムツ
- ハス
- タカハヤ
- モツゴ
- ムギツク
- カマツカ
- ニゴイ
- イトモロコ
- ドジョウ
- ヤマトシマドジョウ
- アリアケギバチ
- ナマズ
- メダカ
- ドンコ
- カワアナゴ
- ウキゴリ
- トウヨシノボリ
- カムルチー
藻川の画像
このような川は熊本市周辺にはもう他にありません。という九州に全体でも無い。
これはつまり、藻川は特別に残されていた川だったのです。地元にも愛されていた川のはずです。
熊本地震をきっかけに後半が部分がコンクリートで工事され、その後の大雨による氾濫被害箇所ともなった事から工事やむなしってことになったのでしょう。直線化は田んぼの形も変えることになるので大工事です。
色んな事情があるにしても、たった750mの区間ですら残せません。
「まぁこんな時代だから。どうせ他の川みんなコンクリートだし。」と諦めたことを未来で後悔する人すら居なくなるでしょう。そのくらい自然の川というのは無くなっています。人々は意識しませんが、とんでもないことなんです。
もうギリギリだろうだけど藻川を知りたい人はガサガサしてみて下さい(やりにくいけど)。網を入れたら川のことを理解できるはずです。少しだけかも知れないけど、網を入れた川とただ画像で見ただけの川の理解度は天と地ほど違う。あなたはそれを理解している人ですよね。
最後にお勧めの本を紹介します。
「川は、あいもかわらず、にぎやかに話しかけながら、そばを流れていきました。さて、その話というのは、川がずっと山のおくから持ってきて、これから、あのあきることを知らない海にきかせようという、世界一おもしろいお話なのです」
日本の川は日本の海にどんな話を聞かせようと流れているのだろうか。。。あなたも想像してほしい。