塩水浴濃度を自動で計算–病気一覧表も

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お魚ガチが書きました
歩き方

自然大好き一家で自然保護協会家族会員。自然観察指導員 。熱帯魚はベタ、日本淡水魚はタナゴその他を20本以上の水槽で飼育中。
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魚の塩水浴の塩量計算は簡単そうで難しい?

バケツ隔離で抗菌剤と塩を利用

塩の量の計算が難しい?いえいえ、一般的な塩水浴0.5%って1リットルに対し5gです。簡単ですね。でも、水槽の水量って床材やレイアウトの容量、水槽の厚みや水面までの余裕で変わってきます。例えば、30cmキューブだと単純計算では27リットルですが、実際の水槽を厳密に計算すると20リットルくらいだったりするんです。そうすると塩の量も変わってきます。

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魚飼育にて塩水浴-必要な塩量の計算


				

水の量と塩の重さから塩分量を割り出す


				

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塩水濃度の計算式

塩
塩分相当量97.3g

塩水の濃度の計算は中学生の算数で出てきます。単に%でなく、塩の重さを水にプラスすることが肝ですね。通常なら1リットルの0.5%で塩の量は5gって計算でも実際は問題ないです。でもせっかくプログラムに自動計算させるなら厳密に計算させたいですよね。

一つ注意点として投入する塩の塩分濃度という項目があります。ほとんどの塩が純粋100%塩ではありません。ミネラルが多い塩だと80%とかもあるし、精製塩だと100%に近かったりして違いがあります。もちろん、この計算機では各種の塩に対応するため塩分相当量を直接入力できます。

あまりにもニガリ成分が多いとアルカリ性に傾いて生体がPHショックで死ぬケースがありから注意が必要です。

塩分濃度の計算式

塩の量を求める簡易式:水量×濃度%塩分量

塩の量を求める正式な式:水量×濃度% / (100 – 濃度%) = 塩分量

塩の重さ÷食塩水の重さ×100=濃度(%)

※塩の純度は100として計算する場合

水槽各サイズごとの塩の量

隔離して薬浴する場合も多いでしょうが、水槽の各サイズの0.3%から0.7%の塩の重さ。水量はマックスより3cm下の水量でレイアウト素材などのないベアタンク、純度100%の塩の場合です。

水槽サイズ実際の水量
水面3cm
0.3%0.5%0.7%
20㎝キューブ6L18g30g42g
30cm横長11.8L35g59g83g
30㎝キューブ水槽22.3L
67g112g157g
45㎝水槽(45*24*30㎝)26.8L
80g134g188g
60㎝ 規格水槽55L165g276g387g
90㎝(90*45*45)155L466g778g1092g
120㎝204L613g1025g1438g

塩のおすすめの測り方

32gでこの量、60㎝規格で0.6%ならこの10倍以上の量。適当計量ではドツボにハマる。

塩の軽量は厳密に行った方がイイです。なぜなら、一つまみ、一掴みで投入すると、後で追加したいときなどに何%かわからないですから。薄すぎれば効果は無いし、1%以上と濃すぎたら魚が死んでしまいます。ですので、キッチンスケールでの計量をお勧めします。多少の計量のずれは問題ないですが、50g入れたのか100g入れたのかよくわからない、となると効果が出ても出なくても次の参考にできません。

小型水槽なら小さじと大さじで計量してもいいですが、例えば60㎝規格水槽だと0.6%で350gと大量になり大さじでも23杯と多すぎて数えられません。

  • 塩は小さじで5g
  • 塩は大さじで15g

塩の濃度について

薬浴水槽
エルバージュエース、0.6%塩分で薬浴中の隔離水槽

まず、塩を入れる時は1/2程度の水換えをした後か、新水で塩を入れましょう。その理由は古い飼育水に塩を入れることでアンモニア濃度が増えて、魚に影響が出る可能性があるからです。


塩の投入は0.3%までならダイレクトに塩を入れても問題ありません。それ以上は時間をおいて塩を追加して濃度をあげます。過密水槽の場合、塩は一度水に溶かして水槽の複数個所から注入したほうが安心。水量に余裕がある場合は直接水槽の四隅に沈めれば徐々に溶けます。直接魚が塩を食べると一瞬暴れたりしますが、死ぬようなことはありません。

  • 0.1%では水草やバクテリアには全く影響はでません。魚に対しての効果も少なく病気の治療や予防効果は無いけど、魚の体力や元気を保つ程度の効果はああります。また、ショップの通販などの水はこの程度の塩が入れられていることが多いです。
  • 0.3%ではほとんどの水草には影響はありませんが、Co2が必要な水草は調子が崩れる時があります。瀕死の場合はこの濃度で慣らしてさらに高い濃度にします。その理由は瀕死の場合は魚の体内の塩分濃度も落ちているからです。塩に弱い魚といわれる魚種の場合はこの程度の濃度までにしておきます。
  • 0.5%は一般的な病気治療での塩水浴の濃度となります。あわせて病気に合わせた薬をしっかり投入します。この濃度になると多くの水草は調子を崩してしまいます。ある程度対応する水草も存在し、新しい子株が塩に強い場合があります。
  • 0.6%-0.7% 塩に比較的強い魚はこの濃度で病気で塩水浴を行っうこともできます。金魚・メダカ・グッピー・タナゴなど。ただ、主な病状が収まっているなら0.3%まで下げます。
  • 0.8%以上は生育環境を考慮して濃度をあげますが、魚の大きさや症状により違いがあるので経験が無い限り普通は行わない方が良いでしょう。

塩水浴効果と魚の病気一覧表

知っておきたい魚の病気と治療を参考にして一覧にしました。

治療塩水の効果効果の理由
ウィルスリンホシスチス病自然治癒汽水域の魚を淡水で飼うと発症するウィルス。
細菌運動性エロモナス(赤斑・松かさ)抗菌剤浸透圧による体液流出の防止。
穴あき病浸透圧による体液流出の防止。
カラムナリス病(尾ぐされ・口ぐされ)抗菌剤この菌は塩に弱い。塩で発育が阻害される。0.5%の塩浴と薬浴の併用が効果が高い。
カビ水カビ病色素剤(マカライトグリーン、メチレンブルー、グリーンF)主な症状が浸透圧調節の破壊なので、塩水での調整が延命に特に有効。
原虫鰓ミクソボルス症無し体力の維持
腎腫大症無し体力の維持
キロドネラ病ホルマリン×水質を良くした方が良さげ
トリコジナ症ホルマリン、過マンガン酸カリ不明
白点病薬浴0.5%の塩水を長めにするだけでも完治しる場合がある。ヒーターを入れて薬浴をつづけるだけでもほぼ治療できる。
エピスチリス症薬浴・塩0.2%の8時間、2%5分で効果が確認されおり、最も効果的とされる。
単生虫タグチロギルス症リフィッシュなど不明
ギロダクチルス症リフィッシュなど不明
甲殻類イカリムシリフィッシュなどイカリムシは塩では死なない。治療後の体液流出防止の効果がある。
チョウ(ウオジラミ)リフィッシュなど×チョウは薄い塩では死なない。
その他怪我自然治癒か感染症防止の薬浴血などの体液の流出防止になる
転覆病各種二次的な病気を防ぐため塩。
背曲がり無し×先天性、網ですくたった時の怪我、エサのリン不足などが原因

塩水浴の効果(メリット)

体力に余裕があると回復もは早い。もっとも直接的な影響は傷などのでの止められる。止められる。

塩を入れると魚の体力に余裕ができて抵抗力が上がります。元気がなく、底でジッとしていた魚も徐々に元気になってくる。それが塩水浴の主な効果です。他にも塩はどこの家庭でもあるので、薬は用意できなくても思い立った時に対応することが可能な点も大きな点です。

病気に対しては白点病とコショウ病は塩の効果は高く、初期なら塩だけで完治できます。他の病気の場合は病原体に直接作用することは限定的ですが、白点虫のような単純な生物は急に塩分が変わると浸透圧調整が間に合わずに弱らせられます。

  • 塩を入れると浸透圧調整が少なくなり、エラと膵臓の機能に余裕ができて体力に余裕が生まれます。多い時には30%も体の負担が減るらしいです。すぐに効果が出る訳では無く、2-3日で効果が出始めて、1-2週間で元気になります。
  • 浮腫症、エラ病では塩浴の効果は高いとされています。
  • 外傷には効果が高いです。穴あきやスレの外傷の場合、血などの体液が流出して弱ってしまういますが、塩を入れて魚と同じ浸透圧にすると体液の流出が抑えられます。
  • 白点虫、ウーデニウムによるコショウ病、キロドネラ、トリコディナなどの寄生性単細胞生物も塩の効果が高いとされています。単純な生物なので0.5%~0.7%程度の塩水浴でも急には対応できずに脱水状態になるからです。
  • 飼育水に微量要素であるミネラルが補充できます。全くミネラル分が無い水槽より、多少あった方がいいですよね。効果のほどは不明だけど、自分が魚だったら多少は欲しいかな。
  • 汽水の魚やエビ・貝は気持ち元気になる。本来の生育水域が汽水の魚は淡水よりも調子が良いです。
  • 鱗のつやが良くなる気がする。気がするだけど。ピチピチ感があるときがあります。粘膜が剥がれて新しくなるからかな?
  • ミネラル分が多いとアルカリ性に傾く。ミネラルが多すぎる塩は避けた方がイイ。たまに塩分濃度85%とか塩もあります。買う際は確認しましょう。
  • エロモナス菌は塩水の効果は不明です。エロモナス由来の病気は塩水だけでは治らないのは確かなので、治療薬を使いましょう。復水・松かさ・ポップアイ・穴あき・赤斑等の病気です。穴あきは体液流出防止のため塩水は使いたい。

塩水浴のデメリット

0.3%ではウィローモスは特に問題はないけど、これ以上は不明。

デメリットの大きな点は水草に対するダメージです。0.3%程度ならよほど長期間しない限り見問題は無いですが、それ以上だと枯れる水草が増えます。具体的には勢いがなくなり、色が悪くなって枯れていきます。

他にも水が痛みやすくなるともいわれますが、その原因は魚の粘膜が刺激ではがれるから。0.3%くらいを超えると一度魚の粘膜が剥がれ、飼育水が薄茶色になったり、泡立ったりします。ただこれは水換えをして再び塩を入れると改善されて泡立たちにくくなります。つまり、最初の時だけ粘膜が剥がれたり老廃物(アンモニア含む)が多くなって汚れていたのだろうと推測できます。

バクテリアに対するダメージもよくネットでは効く話ですが、0.3%までなら大きな影響はありません。だたし、0.5%以上だと一時的にバクテリアが弱くなっている状態にはなります。

意外と気になるのは、水槽周りが汚れやすくなることかもしれません。蓋は確実に塩で白くなる。見た目を気にするなら頻繁に布で拭く羽目になってしまいます。ヒーターや水中モーターの寿命も短くなるかもしれない(海水魚水槽ではヒーターの寿命が半分になるとか)。

濃度の管理は水量と塩分の量をメモして管理した方がイイです。塩分濃度を測る器具もありますが、ちゃんと計量して管理すれば必要ありません。

塩水浴デメリット

  • 水草やバクテリアがダメージを受ける可能性。0.3%は全く問題ないが、0.5%を超えると発生。
  • 弱りすぎや老齢個体は対応できず死ぬ場合がある。
  • 水槽が汚れやすい。
  • 入れた塩の量を記録しないと何%かわからなくなる。また、水を抜いた時も濃度が変化してしまう。
  • EC計で計測がほぼできなくなる。0.1%でも塩を入れるとエラーできないほど電気を通す水になる。EC計で汚れを計測することがほぼ不可能。

塩水浴の水換えについて

注:この水換えについて病気治療の0.5%での話です。

ネットで検索すると塩水浴は毎日全量に近い水換えが必要だと書かれているサイトが多いです。これを鵜呑みにして毎日水換えすると、魚が弱る可能性があります。もし毎日水を替えたいなら、その都度全く同じ水温と塩分濃度の環境を用意するしかありません。中途半端な方法で毎日水換えしたらそのたびに水温や環境が変わり弱っていくばかりです。

では普通は水換えはどうしたらいいのか?初回のみ様子を見て3日以内に行います。水槽に泡や濁り、浮遊部、糞が多いなどがあれば1日目でも交換します。その次は様子を見ながら3日-7日後で徐々に伸ばし通常のペース。もちろんと途中で塩浴をやめて濃度を薄めていってもokです。※復水病などの内臓疾患の場合はその後も水が悪くなりやすいので状態を見てその都度水換えしてください。しかしながら、復水病は塩水浴で無くすぐ治療薬を使うべきです(併用はしない)。

いやでも水が腐るんじゃないの?って一度魚の老廃物が出てしまえば、そう急激には汚れません。エサも少ないはずですし。あとは静かに体力回復してもらうのみ。0.5%ならバクテリアなども徐々に回復してきます。だって、自分は飼育水槽で0.5%で長期維持したこともあるのでバクテリアが死ぬとか水が腐りやすい感想はほとんどありませんでした。水が飛び散って水槽汚れやすいなぁとは思ったけど。

塩水浴の注意点

60gの塩。水差しの中で一度溶かして投入する。ちなみに濃度10%以上になると中々溶けない。
あなたも塩水浴マスター
  • 蒸発したら水を足すのを忘れない。
  • 餌はいつもどおりやる。塩水だとブラインシュリンプが長生きするので小魚には適している。
  • 急激に濃度をあげない。一度水に溶かし、数時間ごとに複数に分けて追加しましょう。
  • 間違ってもアミノ酸が入った味塩はダメ。ミネラルがどうのは考えず普通に精製塩でいい。我が家では瀬戸内の97%の塩使ってます。
  • 0.3%以下ではバクテリアは死なない。0.5%でも実感できるほど死なない。
  • 塩に敏感で死ぬ生体もいる。例えばサワガニ。水草によっても塩耐性はさまざま。特に様々な魚種が入るコミュニティ水槽ではゆっくり濃度をあげて様子を観察。
  • 塩で粘膜が剥がれる場合があり、水槽が泡立ったり茶色く濁る時がある。特に生体が多い時。
  • 塩水浴をやめる時は1/3程度づつ水を替えればよい。
  • 一部の薬品とは相性が悪い(ホルマリンなど)

塩水浴の止め方

30㎝キューブ
冬場は0.3%を維持している水槽。魚が見えないけどタナゴ5匹、ヤマトヌマエビ3匹。

塩水浴をいつまで続けるかどうかはいろいろな考えがありますが、魚の調子が悪いのなら長期間やっても大きな問題は無いです。そもそも濃度と魚の状態で条件が違うので一概にやめ時は決められません。病気の場合は見た目の症状が治まったとしても、元気が無いなら薬を抜いてからも塩水浴は続けるべきです。回復して泳ぎ回っているなら、濃度を水換えで段階的に下げていきます。

0.5%・0.6%での塩浴は長期間せずに、隔離薬浴が終われば0.3%にします。なぜなら、個体や年齢によりにより浸透圧は違うので、長期間になると調子が崩れる場合があるからです。体力回復の塩浴は0.3%程度にしておくのが無難です。

調子を良くするための0.3%の場合は問題が無いならそのまま長期間続けても問題ありません。例えば、我が家の日本淡水魚の飼育水槽は冬場は無加温なので体力維持のために0.3%で維持していますが、特に問題は無くて元気。もちろん、定期的な水換えはやっています。

やめる場合の具体的なやり方ですが、普通に水換えを複数回すればok。例えば0.6%の塩水浴の場合は1/3づつ換水すると0.6→0.4→0.26→0.17%と濃度が減っていく1/2づつ換水の場合は、0.6→0.3→0.15→0.075%となります

魚飼育における塩水浴のQ&A

Q
使ってはいけない塩は?
A

アミノ酸などうまみ成分が入った不健康な味塩はNG。他にもニガリ(マグネシウム)が別に添加された塩、海外のヨード成分(ヨウ素)が添加された塩など。海外では不足しがちな栄養素などが食塩に添加されている場合があります。岩塩は産地により成分が違うので何とも言えません。

Q
人工海水の元は?
A

問題ありません。値段的に食塩がよく使われるだけです。うまくやれば海水魚と淡水魚が同時に飼えます。例えばトラフグ養殖は人工海水での塩分濃度0.5%~0.7%という薄い海水で飼育されています。

通販でおススメの塩と言いたいところだけど・・・

わざわざ高いアクアリウム用を買う必要はないです。通販のアマゾンや楽天だと塩がなぜか異様に高いです。ドラッグストアで1kg100円くらいの塩で十分です。塩を通販で買うのはよほど貴重な塩でないかぎりやめた方がイイですよ。

濃度の計測はアナログよりもデジタルがイイです。アナログの塩水計はサイズがデカく使い難いです。PH、EC、塩分がわかる計測機などもあります。